第489話:さよなら、俺の友達。
「ここまででござるか……」
そして、振り向いてコジュウロウは告げる。
「オウカ。其方には拙者の願いを継げとは言わんでござる」
「当たり前だ、お馬鹿」
そんな面倒な事やりたくない。
その言い方に苦笑しながらコジュウロウは続ける。
「だから、その代わりと言ってはなんでござるが……」
「?」
「勝つでござるよ」
「言われるまでもない」
オウカの言葉に、ジュウロウは微笑み消えた。
■□■□
マリアの意識が覚醒する。
「……ここは?」
周りを見渡すと、そこは教会の礼拝堂のよう。
「そう言えば、私はシスターだったらしいな……」
苦笑したマリア。記憶喪失のため、実感が湧かないのだ。
「戦っていたはずなのに、一体……」
取りあえず辺りを散策する。そして見つけたのは分厚い本。ただし鍵が掛けられている。
「これじゃどうしようもn」
言葉が途中で途切れる。ある事に気づく。自分は左手に何か握り込んでいる。
拳を開いてみるとそこには鍵があった。
「コレか?」
本の鍵穴に挿し込むと、スルリと入る。回すとカチャリと外れた。
「ああなるほど」
この時点でマリアは理解した。
ここは自分の心の中、この本は自分の記憶だと。
(読めば、もう戻れない)
逡巡は一瞬。
マリアは本を開いて、読み進めていった。




