第488話:最後の一刀、これで決まる。
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【ミストルティン】
コジュウロウがストックしていたモノの一つ。
ハイリスク・ハイリターンの不可思議の作品で、あらゆる防御を突破する事が出来る。特殊な防御や条件防御、再生力が高い者や不死身まで突破可能。
強力なように思えるが、勿論代償は存在する。
それが防御力が零になる。ゲーム風に言うなら、どんな装備をしようが、防御力が零になる。
下手をしなくても、相手の軽い牽制で死にかねない。
つまりは回避するか、剣で防御するか、受け流すしかない。
なのだが、【レッソワニー】の場合、再現されるのは、能力だけで、代償はない。……なのでコジュウロウはノーリスクで【ミストルティン】を使っているようなもの。
そして、この【ミストルティン】は使い手を完全に認めると、使い手の体にヤドリギのように取り付き憑依するようになる。
これを利用して、普段のコジュウロウは刀身の存在しない刀を佩刀し、戦闘時に毎回刀身を形成するようにしていた。
本来はそんな必要ないのだが、見せかけの刀をブラフとして利用しているのだ。
相手が武器を取り上げたと油断した所をバッサリやる事がある。
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「あの一撃に残っていたのか……」
「そういう事でござる。そして」
一拍置いて答える。
「コレは冥肌鏤骨ではござらん。所有者は拙者でござる」
「つまり……奪えない?」
「然り。何かのために取っておいたんでござるよ」
友ならば、何かを友に遺すべき。
そう思ったのだ。
「今がその時なれば」
コジュウロウが両手を翳す。するとその手に刀が二本現れる。
柄、鍔、鞘、そして外見からは見えないが刀身――全てが漆黒の太刀。
フック状の義手でも物を掴む位はできるので、器用に左右で持っている。
そして、義手で持っていた方をオウカに投げる。
「おっと」
受け取ったオウカに告げる。
「とは言えただ渡すのでは芸がない。戦り合うでござる」
その言葉にオウカは苦笑する。
「お前らしいな」
そうしてオウカは受け取った刀を構える。
「とは言え、時間もないので、一撃にて」
「ん」
両者奇しくも抜刀の構えを取る。
お互い睨み合う。そして――
「フッ」
「ハッ」
次の瞬間、お互いの位置が入れ替わっていた。
そして――オウカが膝を付くと同時、コジュウロウの体が消え始めた。
【コソコソ話】
(・▽・)<あの馬鹿も色々ストックしているんですけど、
(・▽・)<【ミストルティン】以外のもヤバイのがチラホラあるんですよね……。
(#ー#)<どこぞの戦闘狂みたくにか?
(・▽・)<アレの場合、弱点潰しが多いですから、まだマシなんです。
(㈩*㈩)<具体的には?
(・▽・)<【ジークシュベルト】、【パラシュ】、【ナーゲルリング】などなど。
(㈩*㈩)<……(唖然)……。
(#ー#)<そんなにヤベエのか?
(㈩*㈩)<……取り乱した。全部曰く付きで、完全破壊・廃棄済みだから。
(#ー#)<は!? それってヤバイんじゃ……
(㈩*㈩)<ま、まあ同じ完全破壊・廃棄済みの【スラエオータナ】よりマシ。
(#ー#)<バイオハザード起こして国滅ぼしたのと比べんな。
(㈩*㈩)<簡単に言えば……。まあネタバレ込みだけど――
【ジークシュベルト】黄金剣。敵に対して、バフ、特攻特防、ステータス向上などが時間経過に応じてかかる。使い手は全員嵌め殺しに合って死んでいる。
【パラシュ】斧。殺戮による強化。殺せば殺すだけ補正強化。所持していて十全に使えている場合、危険人物と見なされて即刻討伐対象となる。
【ナーゲルリング】準天剣。『重力剣』の対。力の剣。簡単に言えば……ワ○・フォー・オール。ただし流石にアレらは不可能。それが出来るのはまた別の剣。
(#ー#)<何かサラリと凄い事書かれてる!?
(・▽・)<……まああの馬鹿だから上手く使ってた部分もありますね。




