第482話:殺す前には、絶望を。
◇◆◇◆
時間は戻る。
オウカとワクイの戦いは、一方的な展開となっていた。
オウカが追い詰め、ワクイは追い詰められていた。
(何で! 何で?)
意味がわからない。
手札はこちらが圧倒的に有利。なのに不利になっているのはこちら。
(認める。近接じゃ勝てない)
ワクイは攻め方を変える。瞬間移動で間合いを離す。
「この!」
そして、武器を銃火器にして切り替え、弾幕を張る。向こうは近接系の武器しか使っていない。ならば行けるはず。
だが。
「想定内だよ」
オウカが出したのは身を隠す程の大きな盾。それを片手に身を隠して突進。
それにワクイは、ロケットランチャーを出し発射。火力による撃破を狙いに行く。
着弾、爆発。煙が上がる。
そして、煙が晴れると……
「な!?」
あったのは盾だけ。オウカがいない。
「ど、どこn」
「隙だらけだよ」
最後まで言えなかった。
いつの間にか背後にいたオウカ。手にはドス。
「怒りを乗せてぇ、ブッ刺しー!」
「く……」
腹部を狙ったが、ギリギリ躱される。
そのまま離れ、距離を取るワクイ。
(上手く躱すな……)
内心思うオウカ。
(きっと修練をしてきたんだろうな……)
その熱意を別の方向に行かせなかったのかとも思ったが。
「ま、どうでもいいか」
声に出す。
どうせコイツには未来はない。
「俺が奪うからな」
その眼はどこまでも冷たい。
とは言え、ただ殺すのでは飽き足りない。
(絶望を与えてから殺す)
だからこそ、オウカは口を開く。
「お前、そのチカラ、色々条件があるんだろう?」
「!」
図星だった。
「多分だけど、クロスとか、特殊なスキルじゃないと奪えないんだろう?」
その通りだった。
「んで、どういうのか理解した分しか奪えない」
だからこそ、彼にはまだチカラが残っている。
【クリドゥノ・アイディン】のチカラの一部や、【ティルヴィング】が遺したチカラはまだ残っている。
「そして、そのチカラもう使えないんだろう?」
「!?」
ワクイの表情が変わる。
どうやら図星らしい。
「俺のチカラ、奪いすぎ。恐らく結構無理したんだろう? だからもう使えない」
その言葉にワクイは――咆える。
「ああそうだ! もう誰からも奪えない! 残っているチカラを使うしかない」
否定せず、肯定する。無理に否定すればバレる。
「でもな、まだ使えるチカラはあるんだよ!」
そして、ワクイは奥の手を切った。




