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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
伍ノ章 ~無尽蔵の略奪者と破滅の装置~

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460/718

第460話:その長物は、ブリューナク

 風で周囲を感知していたイオリは気づく。

 落ちて来たソレはこのままでは直撃する。だからこそ飛び退く。

 勘の赴くまま、大きく飛び退いた。


 それは正しかった。

 轟音と共に粉塵が巻き上がる。


(喰らってたら……不味かった……)


 あの衝撃から、普通に避けたくらいでは何かしらダメージを喰らっていた。

 ホッとしながら、イオリは行動を開始する。


「鬱陶しい……」


 風を巻き上げ、粉塵を巻き上げる。そのおかげでルラの姿が視認可能になる。

 そこにはルラが健在。

 

「久しぶりですね」


 彼女は声を掛けた。


「【ブリューナク】」


 対象は手に持つ――冥刀。

 形状は一言で言うなら――槍、もしくは矛や戟。

 長く太い長柄に両刃の巨大な矛が付いている。更に、それを取り囲むように分銅を鎖で繋いでいる月牙(三日月型の刃)を四方に置いている。


 その武器をイオリは知っていた。思わず呟いてしまう。


混天截(コンテンセツ)……?」

「あら、よくご存じで」


 フフフと笑うルラ。


 混天截。

 中国のマイナーな超重量武器。

 対峙した場合には、矛先以外にも月牙と分銅を避ければならず、相手に広範囲の回避を要求する。

 だが、使い手もこれを操る技量、筋肉、体格が要求されるため、目立った使い手は少ない。

 だが、ルラはこれを冥刀のサポートだけで軽々扱う。そして、彼女はこれを持った時が最強。


 そして――


「刃金の誓い、今此処に」


 詠唱が開始された。


「雲霞の如く、敵は湧く。その数幾千幾万か」


 バトントワリングのように混天截を回し始める。


「こちらは一人、相手は大軍。されど負ける道理なし」


 重量武器をバトンのように回す。


「得物は槍だけ。それで十分」


 加護ノ翅が唸りを上げる。


「一騎当千ここになそう」


 発せられる覇気が膨れ上がっていく。


「光へ堕ちろ、闇を照らせ」


 両眼が光り輝く。


剣轟抜錨(デュナミス)――《一騎当千・方天画戟ホウテンガゲキ・ブリューナク》」

 

 それと同時、ルラが姿が変貌を遂げる。瞳が炎を宿したように光り、髪の毛が銀糸のようになり、更に長く伸びる。


 抜錨を果たしたルラを見て、イオリは内心舌打ちする。


(しくじった……。止めるべきだった)


 彼は百戦錬磨の猛者。だから分かる。今のこのメイド――ルラは恐ろしく強くなっている。


(冥刀のチカラだけじゃない……。どういう事だ?)


 疑問に思うイオリ。

 そこへ増援がやって来る。


「遅れました!」

「覚悟しろ! 侵入者」


 人とロボの混合軍。

 それにルラは獰猛に笑う。


「さあ、ありったけでかかってきなさい!!」


 彼女は迎え撃つ。

【TIPS:ブリューナク】

(㈩*㈩)<恒河沙の作品。シンプルイズベストな槍。


(・▽・)<……シンプル?


(#ー#)<マイナー武器なのに?


(㈩*㈩)<変形機能は少しで、特殊能力はないから。シンプル。


(㈩*㈩)<ネタバレになるけど……、その分補正が凄まじい。


(・▽・)<要するに身体強化がエライ事になるんですね?


(㈩*㈩)<うん。更にそれが加護ノ翅で更に強化される。


(・▽・)(#ー#)<……(どれだけの強化率になるんだ)……。

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