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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
壱ノ章 ~刀鬼と三重奏~

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四十六之巻 降りしきる斬雨

 ◇◆◇◆



 お互いの間合いは五メートル。どちらも近接戦主体。近づかなければならない。

 最初に動いたのはカナタ。右手に持った刀を振るう。すると斬撃がオウカ目がけて飛ぶ。


(結構早い!)


 避けるオウカ。そこへ左手に違う刀を持ち、カナタが飛びかかる。


「そこ!」

「おっと」


 かなり早い。まるでコマ落としかのようなスピード。オウカは手に持ったドスと咄嗟に抜いたナイフで受け止める。二刀が鍔迫り合いを起こす。

 そんなオウカにカナタは説明を始める。


「右手の刀は【斬切風(キリキリカゼ)】。特殊な【カマイタチ】を倒して生まれた刀。斬撃を飛ばせる。それ以外も応用はあるけど」


 定寸で反りがあまりなく、刃紋がギザギザしている打刀。


「左手の刀は【翼】。猛禽型の<モンスター>が封じられている。加速なしの高速行動が可能。まあ急停止とか苦手なうえ、スタミナが倍減るけど」


 鍔と目貫に翼の意匠があり、刀身の鍔に近い部分に鷹が彫られた太刀。


「説明してくれるとはお優しい」

「知ってもらおうと思って。それに知ってくれていた方が強力になるの」


 知っているでしょう? と微笑むカナタ。

 <スキル>はこちらが説明し、相手もそれを知る事で強力になる特性がある。……中には(ブラフ)を張る人もいるが。


「フッ」

「ハッ」


 そこから四本の刃により乱戦が起こる。連続する金属音が響く。

 その最中、カナタが感心したように言う。


「凄いわね。そのエモノ。生半可な武器なら刃毀れ起こすのに」


 鍛冶師としても優秀なカナタ。だからわかった。オウカが使うエモノは中々の業物。


(素材も良いけど、作った人の腕が凄い。当主様以上かもしれない)


 その言葉にオウカは笑う。


「俺の友達が作ってくれた物です。そう言ってくれて嬉しいです」


 我が事のように嬉しそうなオウカ。

 二人とも喋りながらも斬り合いを止めない。


「へえ、今度紹介して頂戴?」

「……すいません。出来ないんです」


 一気にテンションが下がるオウカ。どうやら何かあると察したカナタは話題を変える事にする。


「そう。まあいいわ」

「!」


 五月雨の攻撃を縫って刃がオウカに迫る。それをどうにか回避。その隙をカナタは見逃さず一気に下がる。


「なら他の刀を見せましょう」


 そう言うと彼女は【斬切風】と【翼】を納刀。代わりに違う刀を抜く。

 右手に持つのは大太刀。左手に持つのは長脇差。


「さあ踊りましょう」

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