第452話:交わす言葉と、交差する言葉
◇◆◇◆
『――という訳だ』
説明を終えた須臾叢雅。
「そうなのか……」
「……」
マリアは納得した。
一方、オウカは知っていたので復習になった。
それに須臾の視線がオウカへ向く。
『そっちは知っていたようだな』
「向こうにいたので」
『そうか』
須臾も納得してくれた。
そして、彼は嘆かわしいという表情を作る。
『こちらの住人は使っているのにあまり知らないようだな……』
「それはそうですよ。こちらで作られたモノじゃないし……」
一拍置いて続ける。
「こっちじゃ作成出来ていない。というか貴方方が死んでから、修理するのが限界ですし」
『そりゃあそうだ』
真顔で須臾は言った。
『そういう風したのだから』
「まあ悪用する人絶対出ますもんね……」
『……その言い方から察すると君は知っているのかね?』
「ええまあ……」
旅の最中で、色々知った。
でも……
「墓場まで持って行くのでご安心を」
『ならいい』
その会話を聞いていたマリアは口を挟まず聞いていた。
(何か深刻そうだな。触れずに置こう)
そう思った。
******
次の日。
丁度全員揃ったので、朝食の席で今後の予定を話し合う。
メニューはルラが作ったパンケーキ。
「うん、美味い」
「確かに」
シロとマリアが同意する中、オウカは……
「俺が作るのより、フワフワしてる」
少し悔しそうだった。
オウカの料理はプロには及ばないが、それでも上手な方。そして、相手はメイドなうえ、偶に作るパンケーキなので、悔しいのである。
そんな彼にルラが声を掛ける。
「よろしければ、隠し味教えましょうか?」
「是非お願いします」
「わかりました。実は――」
そんな和やかな時を過ごした後、今後の予定が話し合われる。
「では吾輩が仕切るのである」
ノワールが音頭を取る。異議は特に無さそうなので、続ける。
「これからどうするかであるが……」
「カチコミましょう」
「「そればっかり!?」」
ルラの前と同じ意見にツッコミが入った。
嘆息したノワールが反論する。
「まだ装置の場所も不明であるうえ……」
視線がオウカを捉える。
「オウカは、まだ戦力不足である」
「行けなくはないですよ」
オウカはこう言うが、実際【グウェンゾライ】のある欠点のせいで、まだ不完全。
『アッハッハ』
「「お前のせいだろ!?」」
笑う須臾にもツッコミが入った。




