第442話:そしてワタクシは、ハカイする。
どれだけ泣いていただろうか。
突如マリアの泣き声が止まった。そのまま立ち上がる。
「……お、おい大丈夫k……ひ」
男は思わず悲鳴を漏らす。
マリアは凄絶な表情をしていた。怒りと悲しみが混ざったような顔。
「……」
無言のまま彼女は懐から布の包みを出した。それを開くとそこには五寸釘が入っていた。それを右手で掴み左肘当てる。
「【レギンナグラル】。聞いていただけますか」
そうして冥刀に声を掛けた。
「ワタクシは気づきました。右の頬を叩かれたら左の頬を差し出せ。アレは間違っています」
やっと気づけた。
「相手は調子に乗り、更に手を出してくる」
もうすべて遅いが。
「良心や親切をしてもそれが返って来るとは限らない」
ああ、何でもっと早く気づけなかったのか。
「やられたら倍にしてやり返す」
だからこそ。
「右の頬を殴られたら、左の頬に肘打ちをしてから、ボディブローを叩き込む」
もう間違えない。
「反撃する気がなくなるまで徹底的に叩き潰す。それしかない」
その言葉に五寸釘は震える。その通りと言っているよう。
「だからこそチカラがいる。協力して貰います」
そして、マリアは釘を肘から突き刺した。そのまま奥深くまで押し込む。
「ひ!?」
見ていた男が悲鳴を漏らす。アレは痛い。
しかも、男は知らないが、コレは冥刀なので、痛みは倍程度では済まない。
屈強な男性でも、絶叫し、のたうち回る痛み。
……モノによっては代償として発狂死寸前の痛みを与えて来る。
だが、マリアはそれを耐える。奥歯を噛みしめ耐えきった。
「……」
暫くはそのままの体勢でいた。
そして、男の方へ視線を移す。
「ちょっと訊ねて宜しいでしょうか?」
口調は穏やかだが、男にはわかる。
これは嵐の前触れだと。
「な、なんでございましょうか?」
「なぜ敬語なんですか? まあいいですけど……」
マリアは急に変わった男の態度に疑問を感じながらも、ある事を聞いた。
それは自分達を破滅に追いやった外道共の居所。
「あ、ああ……」
幸い有名だったので、男は話した。洗いざらい話した。
……話さなかったらどうなるか、わかったもんじゃない。
そうして聞き終えると、マリアは微笑んだ。……とっても怖い笑み。
「ありがとうございます」
そうしてマリアは踵を返していった。
【後書】
(・▽・)<何がどうなったのかは描写しません。
(#ー#)<一目瞭然だな。
(㈩*㈩)<カクヨムサポパスで希望があればやるかもしれない。……残酷過ぎるかもしれないけど。
(#ー#)<だよな!?
(・▽・)<あ、そうそう。次話は久しぶりにアレをやります。




