第417話:語られる、宗教団体の話。
「ケ、ケツが、わ、割れる……」
「元から割れているでしょう?」
「横に割れるでござんす……」
「……横に割れたら尻じゃないのである」
どうにかジョージとマックスが起き上がり、改めて話が始まろうとした。
「……なあワシも聞いてええんか?」
それに長老が待ったをかけた。
「席を外すが?」
部外者なうえ、今から話される内容はかなりの機密。
だからこその提案だった。
「大丈夫である。無暗に口外しないのなら」
ノワールがそう言う。
なので、長老はこう返す。
「わかった。ただ……」
「「ただ?」」
「もう一人聞かせなきゃならない者がおるんじゃが……」
「もしや……」
ルラが思い当たったのか聞く。
「情報屋さんですか?」
「ああ。改竄の違和感に気づいた子じゃ」
それにノワールは少し考え。
「わかったのである。その人物が守秘義務を担ってくれるなら構わんのである」
なので長老は連絡。少しの会話後、端末の設定を変える。
すると、端末から声が響く。
[構わない。単に気になるだけだから口外はしない]
情報屋の声が響く。
[ああ、申し遅れた。自分はクロサキ=シロ]
「! もしや“情報屋黒白”ですか?」
ルラとかは知っていたらしい。
[そう呼ばれてるけどね。そこまで大層な者じゃない]
謙遜するシロ。
そして、この場の面々に提案する。
[もし自分を利用する機会があったら、初回サービスしよう]
「……良いのであるか?」
ノワールの疑問は最も。この性別不詳は超凄腕の情報屋なのだから。
利用出来るだけでなく、サービスまでしてくれるとは、至れり尽くせり。
それにシロはこう答える。
[今回は良い情報が貰えそうなうえに、色々な人と繋ぎが取れたからね]
そういう訳で聴衆が揃った所で話が始まる。
******
「さて……まず話すのは│吾輩《円卓》の仕事である」
ノワールの言葉にオウカは口を開く。
「確か聖女や信者の護衛……だよね?」
「ええ、その通り」
ルラが答え、付け加える。
「そして、外法の抹殺です」
「外法?」
首をひねる長老。
それにシロが発言。
[異端者だよ。禁忌の技術に手を出したり、魔に堕ちた奴を粛清してたんだ]
公的機関が動く時は、手遅れだったり、犠牲が出た後が多い。
聖霊教はそれらを前もって狩っていた。




