第411話:ワシは、ワシの思いを貫く
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数時間程睡眠を取り、長老は早速行動を開始した。
彼が繋ぎを取ったのは――情報屋。
路地裏で会う。
「久しぶりじゃのう……シロちゃん」
「長老。アンタから呼び出してくるとは珍しい」
そこにいたのは――どこか掴みどころのない人。
男か女かもわからない、性別不詳。
一房単位で黒白に別れた髪の毛に、モノクロな服、何より印象的なのは黒白のオッドアイをしている事。
この人物の名前は――クロサキ=シロ。表裏問わずに活動する情報屋。
とは言え、伝手が無いと接触するのも難しいのだが、長老は気軽に会える仲であった。
普段は長老が情報源の一つであり、彼が得た情報を、シロが聞きに行く方式を取っていたのだが、今回は逆。
「実はのう……」
長老は話し始める。
最近仲間になった新入り……サクラの事。
彼に何があったのかを話す。
それを静かに聞くシロ。
「信じられないかもしれんが……」
「いや、信じるよ」
即答するシロ。
その顔にあるのは――確信。
「これで辻褄があった。なるほどそういう事か……」
「何か知っとるのか?」
「ああ」
そう言って話し始めるシロ。
何でも、とある時期から色々ゴタゴタが続いているとの事。
「ゴタゴタ?」
「ああ」
まずはノーブルの名門の騒動。
「次期当主が妖刀に乗っ取られたんだってさ」
「……初めて聞いたぞ」
「被害がそこまでもなかったからね」
怪我人は出たが、死者は乗っ取られた奴以外には出なかった。
「山一つ犠牲に討伐したそうだよ」
山は跡形も無く消えたけど、と続けるシロ。
次に、聖霊教の大聖女暗殺未遂。
「大聖女暗殺!? 正気か!?」
「No.2が組織を乗っ取ろうとしたんだってさ」
自分の息のかかった人間を大聖女にしようとしたらしい。
そして、大聖女候補の聖女の一人が暗殺されかけた。
「有名な傭兵団まで駆り出した。しかも天ノ角高校の学外実習の時にだ」
「生徒ごと皆殺しにしようとしたのか」
「そ。でもそれは阻止された」
最終的には機体型冥刀同士がぶつかり合ったそうだ。そして、大爆発の末、実習場所のトロルの森は消滅。
こちらも怪我人は出たが、死者は傭兵団の団長だけ。
更に、世界的犯罪者討伐。
「エドリーゲインって知ってるだろう?」
「ああ最近討伐されたの」
「聖霊教と陰陽師複数が討伐したって言うのが表向きの話なんだけど」
一拍置いてシロは続ける。
「今の件全てに関わっている奴がいるんだ」




