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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
伍ノ章 ~無尽蔵の略奪者と破滅の装置~

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407/711

第407話 炊き出しは、公園で。

【前書】

(・▽・)<今回は既存キャラがやっとこさ出てきます。


(#ー#)<なあ、このサクラとか言う奴って……


(・▽・)<何も言わないでください。

 ******



 それからサクラはここの面子の一員となった。

 性格などの問題はなく、あっという間に馴染んだ。

 それどころか、彼の器用さのおかげで、食事に一品追加された。


「仲間に入れて良かったな」

「全くだ」

「長老の慧眼は恐れ入るな」


 こんな会話を交わされた。


 とは言え、問題……という程のものではないが、幾つか問題があった。


 一つ目は呼び方。「サクラ」という名前なので、一人が「サク」と呼ぼうとしたところ、凄まじい圧を掛けて来た。

 とは言えそれはすぐに霧散させる。そして謝罪するが。


『その呼び方はやめてください。お願いします。でないと……』

『わ、わかった』


 何かあったのだろうと、納得する一同。


 二つ目は交流。誘いには応じるが、誘わないとずっと一人でいる。

 食料や金目の物の調達も、やり方を習うため、最初の方は誰かしらついていたのだが、覚えてからは一人でやるようになった。

 ちゃんと調達してくるので、問題は無かったが。


(一人だとなあ……)


 やはり複数の方が何かあった時など、助けを呼んだり出来るため都合がいいのだが……。


 三つ目が……


「サクラ! 今日は炊き出しだ。一緒に行こうや」


 偶に河川敷近くの公園で炊き出しがおこなわれる。

 無料で食事にありつけるので、ホームレス達はこぞって参加する。

 なのだが。


「……俺は遠慮します」


 なぜか炊き出しに行こうとしないのだ。

 その様子を見ながら、長老は思う。


(やはり最初のアレじゃな……)


 実は最初の一回は一緒に来てくれたのだ。

 だが、そこにいた人物を見て顔色が変わった。


 この炊き出しは聖霊教がやっている炊き出し。

 その際、聖女手ずからおこなってくれる。近くに住んでいるので、ほぼ毎回来てくれる。その少女の名はカミヨ=リア。


(何かあったのかのう……)


 リアから、炊き出しの豚汁を受け取った際に、サクラはこう聞かれたのだ。


『あの、よろしいでしょうか?』

『……はい。何でしょう』

『どこかでお会いした事ありませんか?』


 それにサクラは――


『……』


 暫く黙り込んだ後、


『勘違いでは』


 それだけ言って、逃げるようにその場を後にした。

 チラリと見えたその顔は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

 それ以来、炊き出しには来なくなった。

 誘っても断る。


(これは相当根が深いぞ……)


 長老はそう思った。

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