第407話 炊き出しは、公園で。
【前書】
(・▽・)<今回は既存キャラがやっとこさ出てきます。
(#ー#)<なあ、このサクラとか言う奴って……
(・▽・)<何も言わないでください。
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それからサクラはここの面子の一員となった。
性格などの問題はなく、あっという間に馴染んだ。
それどころか、彼の器用さのおかげで、食事に一品追加された。
「仲間に入れて良かったな」
「全くだ」
「長老の慧眼は恐れ入るな」
こんな会話を交わされた。
とは言え、問題……という程のものではないが、幾つか問題があった。
一つ目は呼び方。「サクラ」という名前なので、一人が「サク」と呼ぼうとしたところ、凄まじい圧を掛けて来た。
とは言えそれはすぐに霧散させる。そして謝罪するが。
『その呼び方はやめてください。お願いします。でないと……』
『わ、わかった』
何かあったのだろうと、納得する一同。
二つ目は交流。誘いには応じるが、誘わないとずっと一人でいる。
食料や金目の物の調達も、やり方を習うため、最初の方は誰かしらついていたのだが、覚えてからは一人でやるようになった。
ちゃんと調達してくるので、問題は無かったが。
(一人だとなあ……)
やはり複数の方が何かあった時など、助けを呼んだり出来るため都合がいいのだが……。
三つ目が……
「サクラ! 今日は炊き出しだ。一緒に行こうや」
偶に河川敷近くの公園で炊き出しがおこなわれる。
無料で食事にありつけるので、ホームレス達はこぞって参加する。
なのだが。
「……俺は遠慮します」
なぜか炊き出しに行こうとしないのだ。
その様子を見ながら、長老は思う。
(やはり最初のアレじゃな……)
実は最初の一回は一緒に来てくれたのだ。
だが、そこにいた人物を見て顔色が変わった。
この炊き出しは聖霊教がやっている炊き出し。
その際、聖女手ずからおこなってくれる。近くに住んでいるので、ほぼ毎回来てくれる。その少女の名はカミヨ=リア。
(何かあったのかのう……)
リアから、炊き出しの豚汁を受け取った際に、サクラはこう聞かれたのだ。
『あの、よろしいでしょうか?』
『……はい。何でしょう』
『どこかでお会いした事ありませんか?』
それにサクラは――
『……』
暫く黙り込んだ後、
『勘違いでは』
それだけ言って、逃げるようにその場を後にした。
チラリと見えたその顔は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
それ以来、炊き出しには来なくなった。
誘っても断る。
(これは相当根が深いぞ……)
長老はそう思った。




