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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
壱ノ章 ~刀鬼と三重奏~

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三十九之巻 見せる覚悟

 カナタは恥ずかしいのか顔を赤くしながら、両手を使い大切な部分は隠している。だが、スタイルが良い事が災いして体を完全に隠せていない。特に胸部。


 オウカは自身の目を右手で隠し、目を瞑り、どうにかカナタを宥める。


「……ええとクドウ先輩? 落ち着いt」

「わ、私は落ち着いているわ。れ、冷静よ」


 どう見てもどう聞いても冷静ではない。


「あ、貴方こそ、私が見せているんだから、きちんと見て頂戴!」


 何か滅茶苦茶言っているカナタ。

 行動と言動がエスカレートする。


「そ、そう見てくれないの。だったら隠さなければ良いんでしょう!?」

[何か凄い事言っている。あ、隠すのやめた]

「え!?」

 

 マユが実況する。


「サクヅキ君!」

「は、はいぃ」

「私にここまでさせているんだから、見て頂戴!」


 その言葉にオウカは観念して手をどけて、目を開ける。そして、目に入ったのは、


「男性経験はないわ。だから安心して頂戴」


 安心して良い要素がない。

 白くきめ細やかな肌、大きく膨らんだ双丘、綺麗な臍、長く形の良い太腿。腕は後ろにあるので全てが丸見え。顔は真っ赤だった。

 そんな彼女にオウカは溜息を一つ吐き、カナタに近づく。ビクっとするカナタ。

 オウカは近づきながら上着を脱ぎ、カナタに被せる。そして、溜息一つ。


「ハァ……」

「っ!」

「そういう事はしない方がいい。俺が獣だったら今頃エライ事になってますよ」


 そして、こう言った。


「事情を聞かせてくれませんか?」

「え」

「出来る範囲なら協力します。報酬は」


 一拍置いて続ける。


「後払いでいいですから」


 その答えにマリカは震えながら頷いた。



 ******



 その後、事情を聞く。そして、昼食にカナタが作って来た弁当を頂いた。

 お手製で、中身は酒粕に付けた焼き鮭、肉団子、ポテトサラダ、卵焼き、枝豆、ミニトマトが入ったボリュームのある物。当然美味しく頂いた。

 そして、午後授業を終え放課後。

 オウカは部活に入っていないのでそのまま帰宅する。


「今更だけど、聞いてい良い?」

「うん?」


 人間形態のマユがオウカに訊ねる。


「部活には入らなかったの?」

「……そんな暇がなかった」

「納得」


 オウカの説明に納得するマユ。


 オウカは入学して早々に《クロス》を盗まれ、退学・転学阻止のために動いていたため、新入生歓迎会などに参加出来なかった。落ち着いていた時にはもう終わっていた。


「入らなくて良いの?」

「理由があるなら良いんだとさ」

「理由」


 因みにオウカの理由は、


『何か怖がられているので入れません』


 である。クラスメイトとはある程度打ち解けたとは言え、まだ完全ではない。因みにキョウコもそれには苦笑して納得した。

 そんな雑談をしながら、オウカは昼の事を思い出す。


(色々準備しておかないとな)

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