ccclⅹⅹⅹⅷ 状況をひっくり返す一手とはなにか
だが、一瞬で戻る。
そして、言葉をゆっくりと投げかける。
「これは、ウチの復讐」
家族を奪われたのは自分。
「だからウチもやる。やらなきゃならない」
でなければ
「ここまでやって来た事が水の泡になる」
そして少しだけ、口元を歪める。彼女のぎこちない笑みを。
「本当だったらね、一人でやろうと思ってた」
仲間は集めようとすれば集められただろう。
だが、そうしなかったのは自分でやらねば気がすまなかったから。
そして、これが本当の理由。
「また失うのが――怖かった」
「お前……」
その言葉にオウカが思い出したのは――キョウコのヒナタの人物評。
『あの子は本当は寂しがり屋の優しい子なんです』
確かにその通りだった。
「ねえサクくん。このままだったら、不味いでしょう?」
「それは……」
「どうにかなるとしても――辺り一帯消し飛ぶか、相打ち前提でしょう?」
その言葉に少しだけ顔を顰める。
実際、後者をやろうとはしていた。
「そんなのは駄目。あなたが死んだら、ウチは悲しい」
きっと二度と笑えなくなるだろう。
だから
「ウチも戦う。戦わせて」
ヒナタの心からの言葉。
それにオウカは少し溜息を吐く。
「わかった。でも」
消耗しているから、後衛に集中して欲しい。
そう言おうとしたオウカだったが、それをわかっていたのか彼女は続ける。
「大丈夫。今の自分に出来る事をする。お願い――アズライール」
それは冥刀の真名。
【パダルン・レドコウト】の本当の名前。
それを聞いた外套がするりとヒナタから離れ、オウカに纏わりつく。そしてオーバーコートへと姿を変える。なぜか帽子も付く。
「おお。恰好良い……」
「へえ、こうなるんだ……」
因みにヒナタは当然の如く全裸になる。大事な所は腕で隠している。
なので、オウカはヒナタへ手を差し出す。
「ん」
「?」
首を捻るヒナタの手を取って。
「暫く入ってろ」
「!」
オウカは影の中に彼女を沈ませる。
かつての【オートクレール】の置き土産である、緊急シェルターの出来る空間である。因みに学外実習の時にも使った。
そして、改めてエドリーゲインに向き合う。
「待ってくれてありがとうよ」
「いいさ、どうせ殺すからな」
そして心の中で付け足す。
(そんな隙なかっただろうに……)
実はヒナタと話している間も全く隙を見せなかったオウカだった。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<【パダルン・レドコウト】は外套型の冥刀なんだけど、
(㈩*㈩)<使い手によって形状は変わる。
(㈩*㈩)<ヒナタの場合、トレンチコート。本気の時はボディスーツ。
(㈩*㈩)<たまに着る毛布みたくもなる。
(・▽・)<……ああ! 寝間着形態ですか!
(㈩*㈩)<そう言う事。これしか着れないから。
(㈩*㈩)<オウカの場合、オーバーコートと帽子。
(㈩*㈩)<イメージ的に、武○錬金のシ○バースキンを真っ黒にした感じ。
(#ー#)<もっといい例えねえのか!?




