ccclⅹⅹⅶ 彼女の人生は無駄だったのか
どうにか外套を集中させ、腕を盾にしてダメージを抑える。
それでも、今までのダメージが積み重なり、ヒナタは崩れ落ちそうになる。
(体が……。お願い!)
外套と義足のチカラでどうにか立ち上がる。更に、自身の手に戻って来たメイスを杖替わりにする。
「へえ、やるじゃない」
笑いながらエドリーゲインはそう言った。そんな彼を憎悪が籠った視線で見るヒナタ。
(? 何か覚えがあるな……)
その視線に何かを思い出しそうになるエドリーゲイン。
(なんだっけな~)
恐らくあの老人と一緒で、自分が仇なのだろう。
(まあいいや。だったら……)
ある事を思いつき、実行する事にしたエドリーゲイン。
視線を動けない人達に向ける。
そして、指を弾いて出したのは、骨の兵士達に持たせている銃器
対プレイヤー・モンスターを想定している代物。
「おい、お前達。死にたくない?」
答える間もなくエドリーゲインは続ける。
「だったら、こいつ等を殺せ」
指さしたのは二人――ヒナタと老人。
「そうすれば助けてやるよ」
そう言って武器を彼らに放り投げる。
それに即答したのは、息子を殺された女性。
「出来る訳ないでしょう! このゴミ野郎!」
「ゴミになるのはお前」
投げナイフを投げる。女性の胸部に直撃し、永遠に黙らせる。
悲鳴が上がったので、周りの数人も同じようにした。
「さあどうする? 死ぬか? 生きるか?」
それに彼らが選んだのは――
「……」
「貴様ら! 恥はないのか!」
ヒナタは沈黙し、老人が咆えた。
彼らはヒナタと老人に銃を向けた。
そんな彼らにエドリーゲインはゲラゲラ笑う。
「そりゃそうだろうよ。大抵の奴は人を押しのけても生きていたいんだよ」
銃器が発砲される。
それをヒナタは、老人を庇うように立ち、外套を広げる。
普段なら余裕で守れた。だが、今はもう限界寸前の【パダルン・レドコウト
】。それでもどうにか貫通はしないが――
「ゴフ……」
衝撃は来る。防弾チョッキで弾丸は防げても衝撃は防げないように。
「お前さん! わしはいいから逃げなさい!」
老人はそう言うがヒナタは逃げない。
そんな彼女に笑いながら、エドリーゲインは喋る。
「残念だったな! コイツら見捨てて戦ってりゃこんな事になってなかったのになあ!」
ゲラゲラ笑い嘲る。
「お前の人生はぜーんぶ無駄だった! 復讐は叶わない!」
その言葉にヒナタの眼から涙が零れた。




