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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
肆ノ章 ~ヴェンジェンス・イズ・マイン~

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ccclⅹⅹⅵ その理由はなんなのか

 実の所、エドリーゲインは今回の待ち伏せに薄々気づいていた。


「第六感って言うのか? 危機察知っていうのか?」


 彼は昔からこういう勘が鋭かった。


「稀にいるだろう? スキルじゃない能力を持つ奴って」


 スキルや冥刀ならば鑑定すれば見える。

 だが、そういうので見えないモノを持つ人がいる。何かしらの要因で覚醒したり、先天的に持っていたりする。

 どんな能力になるかは千差万別で、エドリーゲインの場合――危機察知。自身の命に係わる事が迫る事が何となく感じられるとの事。

 因みに、オウカのクロスを奪った奴の場合――強奪能力。条件を満たした相手のスキルを奪う事が出来る。

 

 ただし、持っている人は少ないうえ、隠している人がほとんど。 

 だからこそ、残念な事(?)にエドリーゲイン以外の面々で、該当者はいなかった。


「説明はこれくらいか? 他に何か聞きたい事はあるか?」


 気分が良いから答えてやるというエドリーゲイン。

 それに、逃げ遅れた一人が、老人が咆えた。


「なぜじゃ!」

「あん?」

「なぜこんなにも酷い事ができるのじゃ!」


 彼は長く生きている。

 そして、彼は被害者遺族であった。

 だからこそ、彼が何をしていたかも、知っていた。

 

 それにエドリーゲインはこともなげに答える。


「楽しいから」

「は」


 老人がポカンと口を開けた。

 それに構わず彼は続ける。


「ほら、人が死ぬのを見るのって楽しいだろう?」


 到底理解できない事を。


「人の断末魔は良い音楽になる」


 聞くに堪えない戯言を。


「人を殺すとテンションが上がって、イキそうになる」


 耳が腐りそうになる言葉を。


「そして俺はな、苦しむ人間を見るのが好きなんだ」


 ここにいる誰もが感じた。


「趣味だからな、人を甚振って殺すんだ」


 喋っているのは人間ではないと。


「だからこそ、面白い事(酷い事)をしてるんだ」


 理解できたか? わかったか?

 そう言うエドリーゲインに老人は鬼の形相で叫ぶ。


「ふざけるなぁー! 死ぬべきはお前だろうがぁー!」


 杖を片手にエドリーゲインに襲い掛かるが。


「答えたのに酷いねえ」


 剣を持っていない左手に拳銃を持つ。そして発砲。老人を撃ち殺さず足の関節を狙って撃つ。


「ぐう……」


 倒れたと老人へと、近づきながら告げる。


「死ぬのはお前」


 ファルシオンを老人目がけて振るった。

 それは老人を一刀両断するはずだった。

 だが。


「あら」

「ぐ……」

「……お前さん」


 ヒナタが老人を庇った。

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