ccclⅹⅹⅵ その理由はなんなのか
実の所、エドリーゲインは今回の待ち伏せに薄々気づいていた。
「第六感って言うのか? 危機察知っていうのか?」
彼は昔からこういう勘が鋭かった。
「稀にいるだろう? スキルじゃない能力を持つ奴って」
スキルや冥刀ならば鑑定すれば見える。
だが、そういうので見えないモノを持つ人がいる。何かしらの要因で覚醒したり、先天的に持っていたりする。
どんな能力になるかは千差万別で、エドリーゲインの場合――危機察知。自身の命に係わる事が迫る事が何となく感じられるとの事。
因みに、オウカのクロスを奪った奴の場合――強奪能力。条件を満たした相手のスキルを奪う事が出来る。
ただし、持っている人は少ないうえ、隠している人がほとんど。
だからこそ、残念な事(?)にエドリーゲイン以外の面々で、該当者はいなかった。
「説明はこれくらいか? 他に何か聞きたい事はあるか?」
気分が良いから答えてやるというエドリーゲイン。
それに、逃げ遅れた一人が、老人が咆えた。
「なぜじゃ!」
「あん?」
「なぜこんなにも酷い事ができるのじゃ!」
彼は長く生きている。
そして、彼は被害者遺族であった。
だからこそ、彼が何をしていたかも、知っていた。
それにエドリーゲインはこともなげに答える。
「楽しいから」
「は」
老人がポカンと口を開けた。
それに構わず彼は続ける。
「ほら、人が死ぬのを見るのって楽しいだろう?」
到底理解できない事を。
「人の断末魔は良い音楽になる」
聞くに堪えない戯言を。
「人を殺すとテンションが上がって、イキそうになる」
耳が腐りそうになる言葉を。
「そして俺はな、苦しむ人間を見るのが好きなんだ」
ここにいる誰もが感じた。
「趣味だからな、人を甚振って殺すんだ」
喋っているのは人間ではないと。
「だからこそ、面白い事をしてるんだ」
理解できたか? わかったか?
そう言うエドリーゲインに老人は鬼の形相で叫ぶ。
「ふざけるなぁー! 死ぬべきはお前だろうがぁー!」
杖を片手にエドリーゲインに襲い掛かるが。
「答えたのに酷いねえ」
剣を持っていない左手に拳銃を持つ。そして発砲。老人を撃ち殺さず足の関節を狙って撃つ。
「ぐう……」
倒れたと老人へと、近づきながら告げる。
「死ぬのはお前」
ファルシオンを老人目がけて振るった。
それは老人を一刀両断するはずだった。
だが。
「あら」
「ぐ……」
「……お前さん」
ヒナタが老人を庇った。




