cccⅹlⅰ 二人はどこで戦うのか
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プレイヤー同士の戦いを、安全にする方法で一般的なのは、やはりV.F.(バリア・フィールド)の利用だろう。
値がゼロになったら負けというシンプルかつ、特殊なアクセサリーを装備すれば良い、手軽な方法。
なのだが、欠点はある。
内部破壊の術技や、一部の状態異常、関節技は防げず、戦闘スタイル的に――カウンタータイプや、回復系など――噛み合わない者もいる。
だからこそ、もう一つの方法が存在している。
それがVR空間を利用した戦い。一昔前からVRはあったが、完全再現は難しいなどの制約があった。だが、色々な専門家が力を合わせ、様々なオブジェクトを使い、遂に実現した。
だが、設備は高価で、場所をかなり取る。なので、プレイヤー養成高校でも、導入している所は、道立光ヶ星高校と、都立昴咲高校の二つだけである。
◇◆◇◆
という事で、VR空間で向かい合うオウカとヒナタ。因みに学長権限で無理矢理ねじ込んだ。
オウカは、昴咲高校のブレザー姿。
今更だが、プレイヤー養成高校の制服は、結構頑丈に出来ており、生半可な防具を付けるよりは、防御力は高い。
その右手には、【アロンダイト】。つまりは結構│本気である。
ヒナタは、いつもの服装――外套姿。ただし│邪眼とクロス《手札》を隠すために付けているバイザーは付けてない。
これも今更だが、プレイヤー養成高校では、デュナミストの場合、代償による行動――食事や睡眠など――を授業中に取る事は、黙認されている。だからこそ、彼女の服装はセーフである。……え、ベニバナ? アレは例外と言うか、放任。
その右手には、抜錨状態の【テーセウス】。つまりはメイスになっている。更に残り二つの冥刀も使える状態。かなりの本気である。
そんな彼女に、オウカは声を掛ける。
「じゃあいつ始める?」
「いつでも」
「よし、じゃあ十数えてスタート」
「……(コクリ)……」
オウカが数え始める。
「│一、│二、│三、│四 《よー》、│五、│六、│七、│八、│九」
そして。
「│十」
それと同時、オウカの姿が消えた。現れたのはヒナタの真後ろ。手に持つ剣を振り下ろす。
それに対して、ヒナタは予想していたのか、振り向きもせずにメイスで受け止める。
「予想していたのか?」
「消えた人が現れるのなんて、大抵後ろでしょ」
「確かにな」
オウカはケラケラ笑った。
【TIPS:VR】
(・▽・)<あるんですね。
(#ー#)<まあな。色々な技術のおかげで実現と実用が可能になった。
(#ー#)<御馴染み(?)のVRゲームもあるにはあるんだが
(#ー#)<一般家庭用の物は、そこまでのものじゃない。
(#ー#)<五感全ては無理だし、映像もそこまでじゃない。
(㈩*㈩)<つまり凄いのがあるって事?
(#ー#)<ああ。だが、高価なうえ、設備もかなり場所を取るから。
(#ー#)<置いてある場所は少ない。片手の指に入る程。




