EPISODE34:複数
「じゃあ次はワタシ~」
キョウコが手を上げる。
「<冥刀>を幾つ持って~、いや」
言い直すと同時に開眼する。
「今まで幾つ使っていたの?」
さっきの「遺す」話から確信する。恐らく今のオウカは<冥刀>を持っているが、そこまで沢山持っていない。「遺したモノ」を使っているのだと。決闘で使ったのはソレだと。
「それ聞きますかぁ……」
頭を掻くオウカ。結構困った事を聞かれた。何より……
「言いづらいなら~、おおまかでもいいけど~」
「いや、そうじゃなくて」
一拍置いて答える。
「数えた事ないんで」
「「は!?」」
唖然とする三人。暫くしてジンナが再起動。
「ど、どういう意味?」
「俺が使ったモノの中で、特殊なのがあって……」
そうして彼は説明を始めた
曰く、彼が使っていた<冥刀>に、単体では全く意味のないモノがあった。
一見すると、何の能力もなく、補正もない。大多数のモノが持っている身体強化・可変機能もない。
だが、この<冥刀>は他の<冥刀>を使う事で本領発揮をする。
「要するに、複数持ちになれる<冥刀>です」
「そ、そんなモノが~」
「「初めて知った……」」
「アハハ」
そんな彼女らに苦笑するオウカ。
実際、今この世界に存在する<冥刀>は一部に過ぎない。
製作されてすぐに破壊されたモノ、隠蔽・秘匿されたモノ、色々ありすぎたモノなどなどが存在する。
冥刀図鑑というのがあるにはあるが、載っていないモノもあるうえ、稀に更新されるのでキリがない。
だからこそ全部を知るモノなどいない。
……実際、叢雅一門の全員が内緒で作った作品が存在する。
閑話休題。
「後、他のも結構変わり種があって……」
・条件付きで、相手の<冥刀>のチカラを共有・借用する。
・<冥刀>の破片を取り込み、そのチカラを振るう。
・倒した相手の<スキル>を使用可能になる。
「あ、だからわからないって言ったんだ~」
「はい」
キョウコは納得する。確かにそういうのを持っていればわからないのも当然だと納得した。
(煙に巻かれた~、気もするけど~)
これ以上聞くのは躊躇われた。
なので、
「ありがとう~。もういいよ~」
質問を打ち切った。




