cccⅹⅹⅻ 彼はどれだけのことを語るのか
そして、オウカは確認する。
「……どこから話す?」
「アンタはウチの事結構知っているんでしょう?」
「うんまあ……」
保護者のカヤや、情報に詳しいリアから半生は聞いている。
「だったら、そっちも同じように」
「ん」
公平にいこうとオウカは説明を始める。
「俺の生まれは名門のノーブルの家に生まれたんだ」
「……自慢?」
「でも、すぐさま忌み子扱いで軟禁状態になった」
「ごめんなさい」
頭を下げるヒナタ。
「気にすんな」
「何で忌み子扱いされたの?」
「双子だったうえに、禁術のせいで無能になったから」
「……何それ」
あまりの酷さに、ヒナタの声音は怒っている。
そんな彼女に少し笑みを見せてから、オウカは説明を続ける。
「それで絡繰人形に育てられたんだ」
「実の親は?」
「俺の事を人間とすら思ってねえ」
「……」
ヒナタが沈黙。
「その人と、友人達のおかげでどうにかなってたんだけど」
(友人ってなんだろう?)
疑問に思ったが、聞かない事にしたヒナタ。
流石にゴキブリ、ドブネズミ、シロアリが友人だとは思わなかっただろう。
「このままじゃ不味いって、皆が命を懸けて時間を稼いでくれた隙に家出した」
「家出というか……脱獄?」
「そうとも言う」
「そうとしか言わない」
かもしれない。
「とは言え、一人で幼子が生きている訳がない。野垂れ死ぬ寸前だったんだけど……」
「……誰が助けてくれたの?」
「師匠」
「さっきの針治療教えた人?」
「ああ」
それ以外にも色々習った。
「今でもその教えは生きている」
「……今いないの?」
「生きてはいるだろうけどな……」
一年位前に置手紙一枚残して消えた。
「どこで何してるんだか……」
とは言え、置き土産として、必要な物が幾つも残してあったので、生活には困らなかった。とは言え、いずれはその資金も尽きてしまうので。
「プレイヤー育成高校に通う事にしたんだ」
「そう簡単には入れるものじゃないわよね?」
「師匠の教えのおかげだよ。あの人実戦形式だったから」
「どういう事をやったの?」
「そうだな……」
オウカは説明する。
武器は基本的な使い方を習った後は、ひたすら実戦。
毒耐性を手に入れるため、微量の毒を飲む。
一カ月サバイバル生活。
筆記は覚えてテストの繰り返し。
「とまあこんな感じ」
「……」
その説明に納得したヒナタだったが、彼女は知らない。これがまだ序の口である事を。
【コソコソ話】
(#ー#)<え!? メイド師匠行方不明なの?
(・▽・)<そうみたいですよ。因みに、サクが天ノ角高校に合格した時は
(・▽・)<入学祝いとして、住む場所とオブジェクトを送ってます。
(㈩*㈩)<……待って。じゃああの廃バスって……。
(・▽・)<ええ。だからこそある程度生活環境は整っていたんです。
(・▽・)<だからサクのDIYで住み心地の良い家になったんです。
(㈩*㈩)<なるほど……。まあ爆発炎上しちゃったけど。




