cccⅹⅹⅶ オーバーホールはいつ終わるのか
普通だったら信じて貰えないであろう言葉だが。
「それなら当然か」
ヒナタはあっさりと信じた。
それに逆にマユが疑わしそうになる。
「何で信じられるの?」
「ウチは真偽を判定するスキルを持ってる。それにすぐに外套の様子に気づいたから」
その理由に納得するマユ。
そうしてメンテナンスが始まる。
とは言えまずは見る事から始める。
ヒナタは棍棒を出して渡す。
それをマユは受け取ると、眺め始める。暫く見ていると、持ち方を変え軽く振るう。すると、棍棒がメイスへと変わる。それを眺めていくマユ。
暫くして、マユはメイスをヒナタに返す。
「ちょっと失礼」
「……」
そして、外套を見始める。見るだけでなく時に触っていく。
暫くして見終わったのか、マユはヒナタに声を掛ける。
「義手と義足を見る。触る」
「お願いします」
最後に、マユは手足を見始める。
始めに義手から。外套が長袖なので、袖を捲り見ていく。腕は銀一色で、球体関節となっている。マユはそれを見て触る。特に関節部を重点的に見ていく。
次に義足。外套の裾を捲り見ていく。足も腕と同じようになっている。そして、足は裸足だった。
それにネラが訊ねる。
「聞良?」
「? 何を?」
「裸足、汚付」
その言葉にヒナタは説明する。
「同化型の冥刀は常時能力が発動しているから、大丈夫です」
「それに義足型の冥刀は地面から数ミリ浮いている」
マユの捕捉。
それにネラは納得。
そんな風に会話をしていると、マユの見るのが終わる。
オウカが彼女に声を掛ける。
「どうだった?」
「元々ある程度メンテナンスしていたのと、義手のおかげでそこまで酷くない」
【ダス・メッチェン・オーネ・ヘンデ】の穢れの消去は、埃や塵にすら適応される。なので、関節部などにそれらが溜まる事もない。
「でも激戦を重ねて来たせいか、負荷がかかってる。特に外套は……」
少し沈黙して続ける。
「結構無茶させている。一回全部オーバーホールした方がいいかもしれない」
「お、オーバーホールって……」
「冥刀、精密、機械」
マユの言い方に、ヒナタとネラが奇妙な顔をする。
そんな彼女にマユは訊ねる。
「どうする?」
「どれくらいかかりますか?」
「三つ……実質四つだから明日の朝には終わる」
ほぼ丸一日。オーバーホールなので仕方ないが。
「明日か……」
ヒナタは迷う。
そんな彼女にオウカはこう言う。
「こんな機会滅多にないぞ? やって貰え」
「……」
ヒナタは考える。
暫くして。
「……(コクリ)……」
頷いた。




