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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
肆ノ章 ~ヴェンジェンス・イズ・マイン~

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327/718

cccⅹⅹⅶ オーバーホールはいつ終わるのか

 普通だったら信じて貰えないであろう言葉だが。


「それなら当然か」


 ヒナタはあっさりと信じた。

 それに逆にマユが疑わしそうになる。


「何で信じられるの?」

「ウチは真偽を判定するスキルを持ってる。それにすぐに外套の様子に気づいたから」


 その理由に納得するマユ。

 

 そうしてメンテナンスが始まる。

 とは言えまずは見る事から始める。


 ヒナタは棍棒を出して渡す。

 それをマユは受け取ると、眺め始める。暫く見ていると、持ち方を変え軽く振るう。すると、棍棒がメイスへと変わる。それを眺めていくマユ。


 暫くして、マユはメイスをヒナタに返す。


「ちょっと失礼」

「……」


 そして、外套を見始める。見るだけでなく時に触っていく。 

 暫くして見終わったのか、マユはヒナタに声を掛ける。


「義手と義足を見る。触る」

「お願いします」


 最後に、マユは手足を見始める。

 始めに義手から。外套が長袖なので、袖を捲り見ていく。腕は銀一色で、球体関節となっている。マユはそれを見て触る。特に関節部を重点的に見ていく。

 次に義足。外套の裾を捲り見ていく。足も腕と同じようになっている。そして、足は裸足だった。

 それにネラが訊ねる。


「聞良?」

「? 何を?」

「裸足、汚付」


 その言葉にヒナタは説明する。


「同化型の冥刀は常時能力が発動しているから、大丈夫です」

「それに義足型の冥刀は地面から数ミリ浮いている」


 マユの捕捉。

 それにネラは納得。


 そんな風に会話をしていると、マユの見るのが終わる。

 オウカが彼女に声を掛ける。


「どうだった?」

「元々ある程度メンテナンスしていたのと、義手のおかげでそこまで酷くない」


 【ダス・メッチェン・オーネ・ヘンデ】の穢れの消去は、埃や塵にすら適応される。なので、関節部などにそれらが溜まる事もない。


「でも激戦を重ねて来たせいか、負荷がかかってる。特に外套は……」


 少し沈黙して続ける。


「結構無茶させている。一回全部オーバーホールした方がいいかもしれない」

「お、オーバーホールって……」

「冥刀、精密、機械」


 マユの言い方に、ヒナタとネラが奇妙な顔をする。

 そんな彼女にマユは訊ねる。


「どうする?」

「どれくらいかかりますか?」

「三つ……実質四つだから明日の朝には終わる」


 ほぼ丸一日。オーバーホールなので仕方ないが。


「明日か……」


 ヒナタは迷う。

 そんな彼女にオウカはこう言う。


「こんな機会滅多にないぞ? やって貰え」

「……」


 ヒナタは考える。

 暫くして。


「……(コクリ)……」


 頷いた。

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