cccⅻ なにを彼女は支払っているのか
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戦いが激しさを増す中、オウカはと言えば。
「二人共やるな……」
呑気に観戦していた。因みに、その場にいた生徒、全員が見ている。
そんな状況下で、マユとネラがツッコミを入れる。
[サク、止めないの?]
[戦闘、激化、周囲、巻込]
「流石に二人共自重するでしょう」
オウカの願いはかなわなかった。
「来て」
バイカが機械馬を召喚。
『ヒヒーン、ブルルル!』
出番を待っていた、とばかりに嘶き、前足を上げる機械馬。
「それならこっちも」
ヒナタの言葉に応じたかのように、棍棒が姿を変えメイスとなる。棍棒に擬態していた冥刀である。
放射状にフランジ(出縁)が六枚付いており、先端は鋭くなっている。
オウカが念話でマユに訊ねる。
[マユ、アレは?]
[【テーセウス】]
[今迄、不分]
疑問を呈したネラにマユは答える。そして捕捉。
[擬態していたらわからない]
[納得]
[能力は応報]
[【ネメシス】や【フラガラック】みたいな?]
全く同一能力の冥刀はないが、同じような能力を持つ冥刀は存在する。
[うん。でもそれより問題は……]
マユが言葉を切って続ける。
[あの子、冥刀を他にも持ってる]
[え……]
[何処?]
[手足と外套]
そこからマユは説明する。
手足は【ダス・メッチェン・オーネ・ヘンデ】。
本来は義手の冥刀なのだが、使い手に応じて多少変形する事があるため、彼女の場合は、手足になっている。
外套は【パダルン・レドコウト】。
これも使い手によって、形を変えるタイプで、彼女の場合は、コートとして使っている。
そこまでの説明を聞き、オウカはとある事実に思い至る。
[マユ。代償は?]
[サクは知ってるでしょ?]
[……]
[??]
知らないネラにオウカは説明すると。
[……(絶句)……]
ネラが何も言えなくなる。
つまりはヒナタは手足を捧げたという事。
体の部位を置換する冥刀はそういう代償。とは言え、それ以上は要求しないうえ、能力も結構強力なモノが多いので良心的と言われている。
だが、それより問題はもう一方。
[問題は【パダルン】の方]
[そんなにヤバイ代償なのか?]
[一部の人以外には]
少し言い淀んだ後、マユは口を開く。
[服がそれしか着れなくなる]
[は!?]
[外套、内部、裸体?]
[下着は着ているとは思う]
その代償はヌーディストやナチュラリスト以外には重い。
なにせお洒落が出来なくなるうえ、防具も着れない。
プレイヤーとしてもキツイ。
だが、それだけの代償を支払っているという事は……
[チカラは?]
オウカの疑問に答えるネラ。
それを聞き、オウカは二人の戦闘に目を移した。
【TIPS:代償】
(#ー#)<……。あ、忘れてた。
(・▽・)<おいおい、と言いたいところですけど、
(・▽・)<今まで出て来たのって、軽めのが多いですものね。
(・▽・)<体力・気力・魔力消費、インターバル、制限や欠点など。
(・▽・)<後、前払いでの試練とかだから、払い終えている場合も多いです。
(#ー#)<俺のは時間かけての蓄電が代償だしな。そっちも似たようなものだろう?
(・▽・)<はい。【ルンペル】は制限や欠点です。
(・▽・)<そもそも本体だけだったら何も出来ませんから。
(㈩*㈩)<というか今まで、この作品に出て来たのはこういうタイプが多い。
(・▽・)(#ー#)<急にぬって出て来た!?
(㈩*㈩)<重すぎて使う人いないんじゃどうしようもないから。
(㈩*㈩)<因みに今回出て来た二つ。これでもマシな方。
(㈩*㈩)<もっと凄まじいのがあるけど、それは追々。




