EPISODE31:外食
「姉さんと外食っていう事になったんだけど」
前を歩くジンナはかく語りき。
「友達も連れてきて良いよって。それぐらい奢る懐具合はあるってさ」
「他の知り合いは?」
「生憎と皆先約があるみたい。それに」
苦笑して続ける。
「家族水入らずの雰囲気に水差したくなかったのかも」
[行きづらかったのかもしれない?]
「んー」
ジンナの意見とマユのコメント。この二つにオウカは曖昧な返事を返す。
そして、気になった事を聞く。
「でも、俺で良かったの?」
「うん。それに……」
「それに?」
[?]
疑問符を浮かべるオウカ(とマユ)。
「キミの事知りたかったから(小声)」
「?」
「……なんでもない」
そういう訳でオウカ(とマユ)がジンナに連れられてやって来たのは、町中華の店。あの混乱期も開いていた店。
「そういえば……」
[?]
「こういう所入った事ないな……」
元々生まれと育ちがアレなので是非もない。外食経験自体が少ない。
[わたしは昔に。何人かで]
[ああ……]
マユが刹那叢雅として活動していた頃は、場所によっては比較的普通の生活を送れた。だからこその経験だった。
[どうだったの?]
[……]
その時の光景を思い出すマユ。
『イッキ! イッキ!』
『六徳死ぬとこ見てみたい!』
『ガボガボガボ!?』
六徳が不可思議にアルハラされ、那由他が煽る。
『フン』
『……(呆れ)』
『アルハラやめろ。一気飲み強要やめろ。馬鹿姉妹』
無視する恒河沙、呆れる弾指、止めようとする清浄。
その光景を思い出すマユ。皆楽しそうだった。……約一名死に掛けてはいたが。
[楽しかった]
[そっか]
そんな会話をしていると、
「どうしたの? 入ろう」
ジンナがそう言うので中に入ると、そこには先客がいた。
「ヤッホ~」
「先やってるよ~」
キョウコとザンカだった。
二人が座っている四人掛けのテーブルの上には、ラーメン・餃子・炒飯の三本柱を中心に、エビチリ、麻婆豆腐、シューマイ、八宝菜、ビールなどが並んでいた。
「キョウコ先生! もしかして姉さんが?」
「誘われたから~」
との事。
そういう訳で奇妙な四人での夕食が始まった。




