第289話「鬼」
【TIPS:ゴブリン】
(#ー#)<RPGとか、ファンタジーで御馴染みだな。
(#ー#)<この作品では生態も大体同じか?
(#ー#)<比較的害のない【ホブ】はともかく、通常種は害獣扱い。
(#ー#)<百外あって一利なしだから、即刻討伐対象。
(#ー#)<【キング】とかの上位種がいた場合、討伐隊が組まれる。
(#ー#)<でも……倒しても大して益ねえんだよな……。
(㈩*㈩)<ドロップアイテムとかないの?
(#ー#)<魔力の電池代わりになる【魔石】を落とすかどうかってとこだな。
(#ー#)<後は使ってた武器くらいか? 上位種とか特異とかだと話は変わるけどな。
そうして奥へ向かうと、最近聞いたある音が聞こえる。
(鉄打ちの音?)
つまり誰かが鍛冶をしていると言う事。
では一体誰が? その答えは明白。【ゴブリン】である。
思わず声が出る。
「【スミス】がいるの!?」
群れを作る<モンスター>は役職を持つ時がある。【ライダー】、【メイジ】、【アサシン】などの戦闘職が一般的で、【コマンダー】、【キング】、【エンペラー】などの指揮官がいた場合は大規模の討伐隊が組まれる。そして、更に不味いのが【スミス】――生産職がいる場合。
つまりは、武器を作り提供できるだけの知恵がある。ある意味、下手な指揮官がいるより遥かに不味い。
「引くか……」
<プレイヤー>に何より大事なのは引き際を見極める事。だからこそ、ジンナは踵を返そうとした。
その時だった。
「行ってしまうのか?」
「!?」
声が聞こえた。酷く残念そうな声。
その方向を向くと、そこにいたのは――鬼。
通常の【ゴブリン】は子供の背丈位なのだが、この【ゴブリン】は二・五メートル程の背丈がある。小鬼なんて口が裂けても言えない。
それに加え、通常種なら、腰蓑やボロ布がせいぜいのはずなのだが、着流しの着物を纏っている。
そして――手には頑丈そうな片手鎚。戦闘にも鍛冶にも使えるだろう。
この時点でジンナは悟る。コレは不味い。
(<ボス>なのは確実。下手をすると……<ネームド>や<ユニーク>だ!?)
感じる圧が凄まじく、通常の【ゴブリン】とは比べ物にならない。
そして、流暢に喋っている
恐らく、自分では――勝てない
どう撤退するかを考えていると。
「ああ警戒させたな。安心しろ。手を出す気はない」
そして、次に告げた言葉は。
「上がっていけ。茶を出そう」
「は?」
意外過ぎるもので、ジンナは絶句した。
【TIPS:魔石】
(#ー#)<スゲー今更だが、説明する。
(#ー#)<多種多様の魔を扱う者が持つ石。<モンスター>から剥ぎ取り、
(#ー#)<霊系や妖怪ならドロップする。
(#ー#)<用途は色々。魔力の電池代わり、粉末にして色々利用だな。
(・▽・)<本当に今更ですね。




