EPISODE27:殴拳
(さて)
連撃を避けながら考えるオウカ。つまりは攻撃を避け切り、摩擦で受け流されない攻撃を叩きこむしかない。
(どうするか……)
自分の手札から有効なモノをどう繰り出すか。物理攻撃が効かないのなら、それ以外の攻撃を叩き込めばいいが、彼の手札だと致死性が高いモノが多い。
(う~ん)
アレだと相手が死ぬ。……というか破壊力はピカイチなので、結界すら破壊して他の人まで死ぬ。
アッチは有効。こちらは手加減出来るが、結構派手。そして、個人的にまだ伏せ札として置きたい。
必要なのは、目立たず確実にダメージを与えられるモノ。
「なら、アレか」
ナイフを相手目がけ投げ、徒手空拳となるオウカ。
(素手? 何を狙ってるっすか?)
ザンカはナイフをノーガードで受け流し、警戒態勢を取る。そこへ、
「行くぞ」
オウカが大剣の降り終わりを狙い、間合いを詰める。
(さっきと同じ? 何か狙いがあるっすか?)
ザンカは相手の狙いに乗る事を考えたが、
(やるからには勝ちたいっすし)
敢えて乗らない。これでも負けず嫌いなのだ。
バックステップで間合いを取り自身の距離を保とうとする。
だが、
「!?」
下がれなかった。何かが彼女の動きを阻害する。目をやるとそこには、
(糸!?)
オウカの手首から出た糸が自身を縛り付けていた。しかもいやらしい事に、動きは阻害せず、下がれないようにする範囲で。
(あのナイフはそのために!)
考えが巡るがもう遅い。そして、ザンカの腹部にオウカの左拳が炸裂。
「オラァ!」
「グフ(受け流せない)!?」
その拳撃をザンカは受け流せなかった。ダメージを受け、体がくの字に曲がる。その隙をオウカは見逃さない。
「今度はこっちの番だ!」
[悪人のセリフ]
マユのツッコミを聞きながら左拳のラッシュを叩きこむ。ダメージは先程よりも薄いように感じる。どうやら、受け流せないとわかったのか、防御方式を変更したようだ。それでもダメージは積み重なっている。
(ならば、このまま押し切る!)
【TIPS】
【??】
(㈩*㈩)<この糸は一応<冥刀>。体に憑依している。
(㈩*㈩)<攻防、拘束、治療、武器形成などに使う。
(㈩*㈩)<……ただある理由から制限が多く変質を起こしている。
(㈩*㈩)<それについてはいずれ。




