二六八「響き渡るオシレーション」
【TIPS:ドレイク】
(㈩*㈩)<トンボ型の機体を呼び出す<冥刀>
(㈩*㈩)<チカラは知覚能力と思考速度を極限まで高める事が可能。
(㈩*㈩)<ミサイルとか銃火器などの武装も詰んでいる。
(#ー#)<……今回出オチしなかったか?
(・▽・)<ゴリラモーニングスターと戦ったから消耗があったんでしょうか?
(㈩*㈩)<そう。でもチカラはある程度残留していたから、役立ってはいた。
ソルドアットは呟く。
「次はどうしよう?」
実は結構消耗している彼女。
特に先程のスドウとの戦いで調子に乗り過ぎた。
とは言えやってしまったものは仕方ない。
このまま行こう。
(残り六本。次はこれ)
ソルドアットが次に引き抜いたのは――赤い剣。柄・鍔・鞘が赤。鞘から現れた両刃の刀身は鉄色。だったのだが。
「響け、奏でろ。勝利のメロディーを――蛇之麁正、峻厳なる音よ、震時代に響き渡れ」
抜錨と同時、刃が振動を起こし、赤く染まる。
「振動?」
ネラの呟きにオウカは答える。
「ああ」
「振動、操作? 衝撃、発生?」
「それもできる」
ネラの予想を肯定するオウカ。
観客席ではマユが説明している。
「音や振動を操作するのが基本」
「色々、出来そう」
「うん。振動波や衝撃波の発生、音速移動、振動破砕。攻撃だけじゃなくてソナーにもなる。後……」
一拍置いて続ける。
「地震を起こせる」
「「は!?」」
それを聞いた全員絶句。
ステージでも同様の説明を聞いたネラが絶句している。……機械アリ状態なので、表情が分かりにくい。
「其有?」
「<天剣>は拡張性が高いんだ」
使い手次第でどうにでもなり、何でもできる。
オウカはマユに訊ねる。
「どうにかできるか?」
「無論。主人は?」
「もう少し……」
「安心。後任」
そう言ってネラはオウカは肩から飛び降りる。
着地と同時、車サイズの機械アリを出して搭乗。
そのままソルドアットに向かい合う。
「キミは……<冥刀>……? にしては何か変だな」
「当機、人間、冥刀、中間」
そして名乗る。
「名前、ネラ=D=パラポ」
「ふうん。サクとはどういう関係?」
「相棒」
その言葉と同時、機械アリの周囲に展開されたのは六属性の球体。
ネラは元々は<シャーマン>で精霊を使役していた……否、未だ契約は切れていない。
六属性の球体が周りながら、魔法陣を作り出す。
「火力、勝負。貴方、好物」
「大好きだねぇ。乗った!」
そうして、お互い力を溜める。
「合図?」
「じゃあ……十から数える」
「了解」
そして、数えられていく。
「十、九、八、七、六、五、四、三、二、一」
普通に数えるソルドアット。どこかの誰かとは大違い。
そして。
「零!」
魔法陣から六色がグラデーションした球体が放たれるのと、剣から凄まじい振動波が放たれたのは完全同時。
二つのチカラが鬩ぎ合う。
(唖然。振動、単体)
それにネラは絶句していた。
こちらは属性を混ぜ合わせた攻撃なのに、向こうは振動単体。つまりはエネルギーが膨大と言う事。
下手をすれば負ける。
だが。
(絶対、勝利!)
無問題。あの四人があそこまでやった。だったら、自分も死力を尽くす。
そして鬩ぎ合いの末、双方の攻撃が消えるのはほぼ同時。
巨大な機械アリと赤い剣が消えるのもほぼ同時。
「疲労」
元の機械アリに戻ったネラが溜息を吐く。
「後宜」
そうして、ネラは気絶して、転移で消えた。
【TIPS:マーガ・カマル】
(㈩*㈩)<セフィロトの五番、振動の剣。
(・▽・)<元ネタは、イボ人の神話に伝わる戦争の神の剣。
(・▽・)<悪意を持った人々が近くにいると赤く輝き、地面にぶつけて振動を起こします。
(#ー#)<マイナーだけど珍しく当てはまっている!?




