二五九「ファイター激突」
推移する状況に唖然としていたカナタとベニバナ。
「うわあ……」
「もはや何とも」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにいたのはスドウとカミキ。
よく見ると、少し疲労している様に見える。
それにカナタが問いかける。
「お二方もしかして……?」
「残りの奴らを片付けていた」
実はこの二人、この隙に残りの選手を掃討していた。因みに、ゴリラモーニングスターはスドウとの激戦で倒された。
オウカから授けられた奥の手を使っての凄まじい死闘だった。
「す、すいません……」
「ごめんなさいですわ」
それに二人は謝る。
だが、二人共あまり気にしていない。
「何、気にするな」
「そっちはそっちで大変だったろう?」
「「……」」
男二人の言葉に、女二人も沈黙。
沈黙の肯定と言うべきもの。
「ところで、選手はどうしたのですか?」
「意識喪失させたら、転移した。多分復活したか、させたのだろうな」
カミキの視線が今戦っている二人に向く。
「しかし、この状況をどうしたものか……」
「避難しようにも無理だしな。どうするか?」
「見守りましょう」
「多分、私達の出番がある気がしますわ」
そんな会話をしていると、状況は更に動く。
突如、動きを止め、間合いを取る二人。
「さて、ここからが本番だ」
「魚料理か、いいねぇ」
その瞬間、両者共に、自身のストックを解き放つ。
「ど~れ~に~し~よ~か~な~」
ソルドアットは分裂刃の一本を展開。現れたのは漆黒の剣。それが上空に撃ち上がる。暫ししてから停止、刃先が下を向く。
「「……」」
何が起こるのか、と観客が見守る中。
漆黒の剣は分裂し三百の刃となる。
銘は【ケンヴェルヒン】。
似たようなチカラの【チャンドラハース】と比べると、数は多いが、操作性が劣り、直線軌道が精々。
だが。
「行け」
ソルドアットのその言葉と同時、漆黒の剣が豪雨となり降り注ぐ。
喰らえばひとたまりもない。≪天ノ角高校≫の面々もヤバイと感じて、遠ざかり、結界を張る。
そして、オウカは巨刃の大蛇【マッネ・モショミ】を展開。それが剣雨からオウカを護る。それだけでなく、ソルドアットへ咆哮を上げながら向かう。
「肝が冷えるねぇ」
それをソルドアットは飛び上がり避ける。すると、共に飛翔していた刃の一本が彼女の背後に張り付き、姿を変えた。
それは翼。銘は【イカロス】。同化型の<冥刀>で空中飛翔のチカラを与えるモノ。
それを使い、空中飛翔して、大蛇を避けていく。
そこへオウカが空中を走破しながら迫る。こちらは糸を展開して、移動の補助に使っており、飛翔と遜色なく動く。
「さあ中身を出せ! 戦闘狂!」
「嫌だねぇ」
そして、金属音、両者ともにエモノを振るう。二人は激突しながら、自身のストックを振るう。
オウカが身の丈を超えるどころか、身の丈の五倍はあろうかという大剣を振るえば、ソルドアットは透過して防ぎ、その透過に対し、オウカは炎・氷・雷・風・の四属性を纏う三叉槍の攻撃を繰り出す。
それをソルドアットはエネルギー切断の刀で切り裂き、それにオウカは糸を使い数多の武器を投擲し、その武器をソルドアットは双剣で無効化し倍返しにする。
その武器を上手く回避しながらオウカは間合いを潰し、ソルトアッドと鍔迫り合いをする。
「危ないね」
「全部避け切って言うな」
完全互角の戦況。なのだが、観客の一部――オウカの知り合いが気づき始める。
「アレ? 何か変じゃないっすか?」
「? ああ」
「そういえば」
「何ででしょう?」
上から、ザンカ、ジンナ、ランコ、リア。
だが、他の面々は何の事かわからない。
それにマユが答える。
「ストックを絞っている事でしょう?」
「「うん」」
「使っても意味ないから」
そして、彼女は説明を始めた。




