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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
参ノ章~Once More Again~

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251/710

二五一「新たなるデュナミスト」

 ■□■□



(ヤベエ、ヤベエ)


 ウラベはどうにかこの場から逃げ出そうとする。だが、四肢が曲がって動けない。


(どうすれば……、どうすれば……)


 その時だった。


[助けてあげようか?]


 声が聞こえた。


「だ」

[おっと、声には出さない方が良いよ? サクにバレるよ]


 その誰かの助言に従い、とりあえず心の中で喋る。


[誰だ!]

[今はそんな事どうでもいいだろう? 助けてあげるよ]


 相手の正体はわからないし、どこにいるのかすらわからない。

 だが、彼は藁にすがる。


[ど、どうすればいい?]

[何、簡単な事さ。その体を貸してくれればいい]

[は?]


 唖然としたウラベに声は続ける。


[気づいていないんだ。キミの奥の手だよ]


 その声の説明によれば、自分の《月鏡》の最後の奥の手。

 外側だけではなく、本人を呼び込んで内側も再現する。

 ただし、デメリットは勿論ある。

 インターバルはかなり長いうえ、それとは比にならないデメリットが出て来る。

 それは――


[本人の魂魄と精神を呼び込むからね、乗っ取られる危険性があるんだよ]

[ふ、ふざけんな! じゃあ俺死ぬじゃねえか!?]


 ウラベの抗議に、その声はケラケラ笑って続ける。


[大丈夫さ。ちゃんと返してあげるから。なんなら〈誓約〉? を結んでも良いよ]


 〈誓約〉は特殊な術技。お互いが何かしらを誓い、それを破ればそれ相応のデメリットが降りかかる。


[で、でも……]

[ちゃんとサクにとりなしてあげるからさ]


 この時点でウラベは気づいていないが、オウカをサクを呼んでいる。つまり、この声の主は、彼の親しい友である。

 だが、それにウラベは反論する。


[とりなすって……あいつ等出来てねえじゃん]


 カナタとベニバナがどうにかオウカを鎮めようとしているが、あまり効果がない。


[ダイジョブさ。彼は負い目があるから]

[負い目?]

[それは今はどうでもいい]


 疑問に答えない。そして選択を促す。


[さあどうする?]

[……]

[座して死を持つ? それとも抗う?]


 そして暫しの沈黙後、ウラベは決断する。


[わかった! ちゃんとどうにかしろよ! 後、体返せよ!]

[わかった。契約成立だ]


 その言葉と同時、ウラベの意識が薄くなっていく。

 彼が最後に聞こえたのはこの言葉。


[今は眠って。起きた時には終わってるさ。……多分]


 凄く不安になったウラベ。

 そして、意識はなくなった。



 □■□■



 次の瞬間。


「「!?」」


 凄まじい圧がウラベの方から発せられる。

 それにオウカ達はその方向を向く。


 すると、そこには男ではなく、女がいた。

 今まで、変身した人物は可愛い人や美しい人が多かったのだが、この女性は妖艶と言ってよい美貌を持っていた。

 服装はサイズが大きいせいで、ダボっとした露出の少ない服を着ているが、不思議と動きにくくないようになっている。そして、腰には三日月刀。

 因みに四肢が動かないので、座り込んだまま。


 その女を、オウカは知っている。


「野郎! 懲りも懲りずに……」


 拘束を引き千切りながら、迫ろうとしたオウカ。

 だが、女の声に足が止まる。


「やれやれ変わっていないねサク」


 その声を、オウカは知っている。

 女は更に続ける。


「まあ人は変わらないけど。良くも悪くも」


 やれやれと女は肩を竦める。

 

 そして、オウカは気づく。

 今までの贋物とは何かが違う。

 何より――圧が違う。

 

「ま、まさか……」


 そして、女は笑みを浮かべてこう告げる。


「座ったままで悪いけど、改めて自己紹介だ」


 一拍置いて女は自身の名前を告げた。


「ソルの名前はソルドアット。短い時間だけど宜しくね」


 そして、ウインクした。

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