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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
参ノ章~Once More Again~

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二五〇「ドンストップ桜牙」

 その時だった。


「縛!」


 オウカの足元に大量の呪符が現れる。そこから大量の鎖が飛び出しオウカを雁字搦めに縛り付ける。

 その人物の方へ、オウカは億劫そうに視線を向ける。


「……どういうつもり?」


 それはクドウ=カナタ。

 そんな彼に彼女は問いかける。


「それはこっちのセリフよ。一体何をする気だったの?」

「塵を処分しようと思って」


 事も投げに言うオウカ。それにカナタは少し悲し気な眼をして言葉を発する。


「お願い、やめて」

「……」

「私のお願い……聞けない?」


 その言葉にオウカは苦笑する。


「大丈夫。すぐ終わる」

「そういう事じゃない。彼を殺すのをやめて頂戴」


 カナタの真摯な言葉。

 更に、そこに言葉を重ねるのは、いつの間にかオウカの前にいたベニバナ。

 嫌な予感がしたので、共闘していた相手を振り切り、ここに駆け付けたのだ。


(わてくし)からもお願いしますわ」


 男を庇うように立って頭を下げる。


「どうか止まってですわ」


 オウカは少し沈黙してから話しだす。


「この塵屑は俺にとって最も許せない事をした」

「……何を?」

「俺の親友(ダチ)を馬鹿にした」


 それが彼には許せない。

 それに四肢が潰れて動けない男は反論した。


「し、してねえよ。そんなk」


 それにオウカは、相手に圧を掛け睨みつけて言葉を封じる。

 そして、続ける。


「アイツらの技はあんなものじゃない。アレらはな、アイツらが様々な体験をして積み上げたものだ」


 楽しい事や嬉しい事ばかりではない。憎悪、憤怒、恩讐、怨嗟。負の感情すら積み上げ、数多の激闘、死闘を繰り広げて出来たもの。


「だから俺はコイツが許せない。だから殺すんだ。大丈夫すぐ終わる」


 それをどうにか止めようと、友達二人は言葉を重ねていく。


「お願い。そんな事で手を汚す必要ないわ」

「ある。アイツは皆を馬鹿にしたんだから」

「相手は悪気はないですわ! だから止まってくださいまし」

「ここまでしたんだ。もう引けない」


 だが、オウカは止まらない。

 もう相手を殺さなければ止まらない。

 そう思われた。



 ★☆★☆★



 男――ウラベ=ヒロノブは特殊な<スキル>を持っている。それが《月鏡》。対象が強いと思った相手を再現する能力。

 しかも、その戦い方や能力すらもある程度なら再現できる。


 とはいえ、誰でも再現できる訳ではないうえ、一定以上見た相手しか出来ないうえ、インターバルもある。

 だからこそ、体捌きが独特なコジュウロウは上手く扱えなかった。

 

 これを上手く使って、強い相手すら倒して来た。だからこそ、今回の『バトル×三』に選ばれた。

 だが、今回はそれが命取りになってしまった。


 彼は知らなかったのだ。

 オウカが友達・仲間を大事にしている事を。

 今はもう会う事が出来ない、彼女らとの思い出を、彼が宝物にしている事を。

 劣化コピーでは馬鹿にしていると思われる事を。

 

 だからこそウラベの命は風前の灯となっていた。


 だが、逆境や窮地は成長・進化の兆しになる事がある。

 今回はそうなった。

【TIPS:特殊なスキル】

(#ー#)<特殊な<モンスター>を倒した時に、そういうのは習得できる時があるんだが、


(#ー#)<心臓や脳に特殊な加工して作られる石――【スキルストーン】、略称【SS】があるんだが、


(#ー#)<これを使って覚えられる場合もある。まあかなりランダム要素が強い。


(#ー#)<当たり外れが激しいんだが、当たりの時は凄まじい。


(#ー#)<このコピー野郎や、聖女とかがそれにあたるな。


(・▽・)<サクは使わなかったのですか?


(#ー#)<忘れたのか? コイツは<スロット>自体を奪い取られた。


(・▽・)<あ!


(㈩*㈩)<忘れないで。


(・▽・)<……ごめんなさい。

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