EPISODE25:祢々
[……準備が良すぎない?]
[確かに。最初からこうする気だったのかも]
そんな事をマユと話すオウカ。そんな彼にザンカが話しかける。
「まあ色々思う事あるかもっすけど、我慢して欲しいっす」
ザンカが虚空から、先程も出した大剣を出す。
全長二m程はありそうな片刃の大剣なのだが、まるで、ナイフをそのまま巨大化さたような見た目をしており、独特な圧を放っている。それを彼女は片手で持ち構える。
[マユ。アレは?]
[【ウルナッハ】。恒河沙の作品]
スリルの不可思議、センスの那由他を筆頭に、変わり種ばかりが多いように思われる叢雅一門であるが、その中でも『恒河沙叢雅』の作品は変わり種がない。
彼に言わせれば、
『自然、概念、因果を操作する刀剣? 馬鹿か? 刀剣である必要ねえだろうがボケナス』
ごもっともである。
だからこそ、彼の作品は切断や身体強化に関するモノが多い。対価も変なモノはないので結構好かれている。
(さて……どうでる?)
オウカは二本のナイフを構えたまま相手の様子を伺う。
ザンカの最初の手は、
「刃金の誓い、今此処に」
詠唱だった。
「滑り落ちろ、転がり落ちろ」
<冥刀>が本領発揮するためにはコレが必要。
「お前はもう戻れない」
【ウルナッハ】が妖しく輝き、ザンカの目が光る。
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
地面に突き刺し告げる。
「剣轟抜錨――《斬山巨刃・祢々切丸》」
詠唱が唱え終わると同時、一気に圧が増す。
【TIPS】
『恒河沙叢雅』
(㈩*㈩)<一言で言うなら口の悪い頑固職人。
(㈩*㈩)<でも根っこは優しい人。
(㈩*㈩)<他の叢雅が皆刀工は副業で、本業は別にある。
(㈩*㈩)<医者、カフェマスター、OL、自宅警備員etc
(#ー#)<自宅警備員は職業じゃねえ。
(㈩*㈩)<だけど彼は本職も鍛冶師。




