二四二「そしてバトルが始まった」
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そして、遂に試合開始となる。
選手達は一チーム固まって、どこかに転移する。そこから攻撃や防衛に移る。
攻撃の場合、単独か、団体で挑む。……場合によっては半々にする。
≪天ノ角高校≫の場合、選んだのは前者。しかも、旗防衛の一人をその場に留まらせたまま、全員が散らばる。
そして、他の高校はと言えば、一人を旗の担当にして、残りが攻撃と防衛を担うチーム戦。そのため、単独と団体のどちらもある。
そんな状況下、まず接敵したのは、カミキだった。
敵は三人組の<プレイヤー>。剣士、術士、回復役のバランスの良いパーティ。
「よし、相手は一人! やっちまえ!」
剣士の男が獲物を見つけたとばかり、襲い掛かろうとした。
だが、次の瞬間、コマ落としのように、離れた場所にいたカミキが、術士の近くにいた。
「「な!?」」
「遅い」
「え」
そのまま、蟷螂の鎌に変えてあった右手に、光を纏わせ威力を上げ、急所を狙う事で、一撃で術士を葬った(殺してはない)。
そして、返す刃で回復担当を戦闘不能にする。
あまりの速さに、剣士は呆然としていたが、どうにか起動。剣を振りかぶり、カミキに襲い掛かる。
「死ねやあああ!」
それにカミキは光線を放つ事で対応。そのまま剣士はVF値を削り取られて、戦闘不能になった。
十秒もしないうちに、勝利したカミキは息をフウと吐き、そのまま移動し始める。
その時、彼が思い出していたのは、オウカに言われたある言葉だった。
『会長の《クロス》って何の種類のカマキリですか?』
『いや、知らないが。どれも同じじゃないのか?』
『そんな訳ないでしょう。それ、凄くもったいないですよ?』
オウカに言わせれば、生物系の《クロス》は、種類が細かく決まっていない場合がある。大雑把な区分の場合、複数種のチカラが使えるとの事。
『例えば、クモの場合はこんな感じです?』
糸で罠を張ったり、相手を拘束するだけでなく。投げ縄にしたり、滑空したり、空気袋を作っての水中活動まで可能。
更に、タランチュラのパワーと、アシダカグモのスピードを利用した格闘などが出来る。
『先輩はカマキリですから、ハナカマキリの擬態とか、キノハダカマキリのスピードとかが使えるんじゃないですか? 一度色々調べると良いですよ』
『ああそうする』
そういう訳で、カミキはカマキリについて色々調べた。そして、そのチカラを引き出せるようになったのだ。
「もっと早くやれば良かったな……」
その呟きは、残念そうな声音だが、どこか嬉しそうな声でもあった。
【TIPS:生物系のクロス】
(#ー#)<比較的当たりと言われる部類で、特定の種類になる奴もいるが。
(#ー#)<大雑把な区分になる人もいる。
(#ー#)<そういう場合、上記のように複数種のチカラを引き出せるな。
(・▽・)<何かそれズルな気がします。
(#ー#)<言ってやんな。所詮ガチャだからな。それに……
(㈩*㈩)<それに?
(#ー#)<こういう引き出しは体力や気力を消耗する。
(#ー#)<だから、どっちが不利とかない。どれだけ使いこなせるかだ。
(㈩*㈩)<そういう考え何か好き。




