EPISODE23:会話
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「皆やってるね~」
「そうっすね~」
授業を見守るキョウコとザンカ。実はザンカはここの卒業生だった。
「……悪いね~、急に来てもらって」
「いえいえ。アタシ暇でしたし」
高ランクの探索士かつ冒険者を生業としている<プレイヤー>ならば、週に三回か四回程、中難易度の<モンスター>の討伐依頼を受けるなり、<ダンジョン>に潜るなりすれば普通に暮らせる。
「こういうのも良いもんっす」
後輩の成長を見守るのは先輩の務め。和やかな雰囲気だったが、
「ところで、センセー」
「うん~?」
「アノ子が本題っすよね?」
「うん~」
「……何っすか? アレ」
空気が一瞬で変わる。キョウコの目が開眼する。
「アナタから見てもヤバイ?」
「ヤバイってもんじゃ無いっす」
ザンカは強者を見たり、戦ったりしてきた。だからこそわかる。
「かなりの修羅場を潜ってるっす。後、殺ってるっす。確実に」
「一人や二人じゃないよね?」
「そんなものじゃすまないっす」
あの血の匂いはそんなものではつかない。だが、
「でも悪人って訳じゃなさそうっす」
「うん」
それは見て感じる。剣を打ち合わせても感じ取れた。
「一体何があったんだろうね~」
いつの間にか糸目と口調が戻っているキョウコ。視線をオウカに移すと、ジンナと戦っていた。
ジンナが繰り出す双剣の連撃を、オウカは手に持った鉄棒で捌いていく。そして、鉄棒が双剣の隙を潜り抜け首元に突きつけられる。
それを見たザンカはキョウコに話しかける。
「キョウコセンセー。ちょっといいすか?」
「?」
ザンカのお願いをキョウコは快く引き受けた。




