EPISODE22:刃那
そして、
「キョウコセンセー。授業を始めるっす~」
「いやいや~、キミらのせいで止まってたんだよ~?」
実技授業が再開された。内容は二人一組での模擬戦。とは言え、
[相手いないんだよな~]
オウカには相手がいない。入学から一週間以上経ったが、未だにボッチ。
[わたしが相手になる?]
[……気持ちだけ貰っとく]
マユが実体化したら、色々面倒な事になる。
(それにしても、俺って、アイツらとどうやって仲良くなったっけ?)
ふと思うオウカ。異世界ではボッチではなく、常に誰かしらと一緒にいた。首を捻っていると、
「サクヅキ君」
「ん?」
誰かに話しかけられた。振り向くと、そこにいたのはジンナだった。
「ああクロガネさんか。どうしたの?」
「相手がいないなら、ボクと組んでくれないか?」
その言葉に目を見開くオウカ。少し驚きながらも、訊ねる。
「相手いるんじゃないの?」
「まあね。でもキミにちょっと興味があって」
そういう訳で、模擬戦をおこなう事になる。
「胸を借りさせて貰うよ」
そう言って彼女が虚空から取り出したのは両刃の直剣。幅が妙に広く、圧を放っている。恐らく<冥刀>。
[アレは……]
それに反応するマユ。
[【エスペ・アヴァンチュルーズ】]
「……【エスペ・アヴァンチュルーズ】?」
思わず声に出してしまうオウカ。それを聞き取ったのか、ジンナの顔が驚きに染まる。
「驚いた。銘まで当てるとは」
そう言うと、剣を掲げ二つに分けて双剣とする。それを逆手に構えるジンナ。
[双剣……?]
[元ネタはベイリンの剣だから]
ベイリンはアーサー王伝説に登場する騎士の一人。“双剣の騎士”や“野蛮なベイリン”と異名を持つ。そんな彼が使っていた剣は「選定の剣」が有名だが、もう一つある。それが「冒険好きな剣」。これを元ネタに『那由他叢雅』が作った。
[確か……センスの人]
「そう。スリルを追求するアイツの妹」
那由他の作品は堅実なモノが多い。<冥刀>には何かしらのデメリットや対価があるのだが、彼女の作品はそれが低い。一方、姉である『不可思議叢雅』の場合は、ハイリスク&ハイリターンであり、一度の使用で死にかねないモノもある。因みに疫災を巻き起こした【スラエオータナ】も彼女の作品である。
[能力h]
[言わなくていい]
能力の説明しようとしたマユを止め、オウカはナイフ……ではなく、背中に手を入れ鉄棒を抜く。背中に隠せる程の長さをした鉄棒。因みにこれもナイフと同じ作者の作品であり、純粋な硬度と強度はナイフより上であり、とあるギミックがある。
[自分で確かめる]
[そう]
そして、
「行くよ」
「来い」
その言葉と同時に地を蹴る二人。
鉄棒と剣がぶつかり合い金属音を立てた。




