二一五「カスタマー万来」
そんな感じで三人が話していると。
「ん……」
「……あ」
「気配」
三人ほぼ同時に感じ取った。人がやってくる気配がする。
なので、ネラが偵察用の機械アリを向かわせると、そこにいたのは。
「千客、万来」
カナタ、ジンナ、ベニバナ、ランコ、リアだった。
この面々はマユとネラの存在を知っていたり、知らなかったりする。なので。
「マユ、ネラ」
「わかった」
「承知」
マユが櫛に、ネラが機械アリになる。そのタイミングで、来客を知らせる音が鳴る。
「はいはい」
扉を開けると、そこには五人の少女達。
最初に口を開いたのはカナタ。その手には果物盛り合わせが入った籠。
「お見舞いに来たわよ。はい」
「どうもありがと」
盛り合わせを受け取るオウカ。
そんな彼にジンナが口を開く。
「サク君、休む事なかったから心配したんだよ? 大丈夫?」
「うん。寝てたらマシになった。明日には学校行くから」
そう言って笑うオウカだったが、リアとランコがこう言う。
「顔色少し悪いですよ? ご無理はなさらないでください」
「いつも人に無茶するなと言っているんだから、自分もするな」
ランコの言葉には苦笑いするしかないオウカ。
そんな彼にベニバナが心配そうに訊ねる。
「オウカ。本当に大丈夫ですか?」
「平気」
短く告げる。そんな彼にベニバナは続ける。
「オウカ。やはり私のせいで」
「違う」
即答するオウカ。
「鍛えたりなかっただけ。もう何も言うな」
そう言って笑うオウカ。
そこまで言われては仕方ないと、ベニバナは。
「わかりましたわ」
そう言った。
そして、五人にオウカは問いかける。
「それで? 上がってく? 狭いけど」
「今日は帰らせて貰うわ」
「元気になった時に改めてお邪魔するよ」
そういう訳で五人は帰った。
帰り際に、ベニバナがオウカにある事を伝える。
「そういえば、会長が話したい事があるから、寄るとの事ですわ」
「……マジでか」
「マジですわ」
流石に驚くオウカ。
そして、五人が帰って一時間後。
「やあ。この様子だと大会前には治りそうだね」
カミキが訊ねて来た。
「明日には行きますよ」
「無理は禁物だ」
「皆そう言いますね。ところで用事って?」
オウカの問いかけにカミキは少しだけ逡巡して答える。
「自分にも助言が欲しいと思ってね」
「へ?」
変な声を出してしまったオウカ。
そんな彼に構わず続ける。
「いや、君は交流のある人達には助言したりしているそうじゃないか」
「まあ……」
「自分も伸び悩んでいるからね。何かないかと思ってね」
そういうカミキにオウカは沈黙してしまう。そのまま考える。
(そう言われてもな……)
彼の戦闘方法は完成されている。これ以上何かと言われても困ってしまう。
(う~ん……。あ)
その時、とある事を思い出す。
なので。
「先輩」
「何だね?」
「先輩の……」
そして、このオウカの質問により、カミキは更なるパワーアップを果たす事になる。
【後書】
(・▽・)<どんな強化するんでしょう?
(#ー#)<ヒントは《クロス》と、蟷螂だ。
(㈩*㈩)<……?




