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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
参ノ章~Once More Again~

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210/712

二一〇「紅花のエボリューション」

 ******



 その日の空き教室では、二人の人物がティータイムを楽しんでいた。


「はい。どうぞ」

「どうもですわ」


 相も変わらずメイド姿のオウカが紅茶を淹れ、それを飲むベニバナ。


「お菓子もどうぞ」

「ありがとうですわ」


 彼女は差し出されたチョコチップクッキーを齧る。

 暫くそうしてお茶を楽しんでいたが。


「って違いますわー!?」


 ベニバナが噴火する。

 そんな彼女にオウカは冷静に発言する。


「ビークール、ビークール」

「落ち着いていられますか!?」

「どうどうどうどう」

(わてくし)は馬ではないですわ!? ドラゴンですわ!」


 怒り出すベニバナ。だが、オウカの指摘ももっともだと思ったのか、深呼吸を繰り返して何とか落ち付く。


「どうしてお茶をしているんですの!」

 

 実はベニバナはオウカに助言と修行を頼んでいた。自分一人では強化の道筋が見えなかったからである。

 そんな彼女にオウカは告げる。


「今はこれが必要だから」

「え」

「焦るな。心にゆとりが大事なんだ」


 その言葉を理解はするが、納得できないベニバナ。


「ですが時間は有限ですわ。それにこのままだと……」


 そんな彼女にオウカは息を吐いてから続けた。


「じゃあやりましょう」

「え」


 そう言って真っ直ぐにベニバナを見据えるオウカ。そして、彼女に告げる。


「今からやるのはちょっと荒技です」

「な、何をしますの?」

「言うなれば――補助輪を付けます」

「?」


 首を捻るベニバナに、オウカは人差し指から赤い糸を出して続ける。


「この糸は<冥刀>である【クリドゥノ・アイディン】です」


 正確には親友(ダチ)が使っていたモノの、残影であるが、今は関係ないので省く。


「この糸には情報が詰まってます。数多の<冥刀>について」


 <冥刀>を解析し再現する。それがこの赤い糸のチカラ。それは能力だけでなく、使い手の経験や技量まで再現可能。


「それに何の関係g……まさか」


 ベニバナは馬鹿でない。だからこそ気づいた。それは――


「ええその通り。〈心牙〉に至った人の記憶があります」


 <冥刀>は一つとして同じ能力はない。……似たようなのはあるが、全く同一は存在しない。その中にオーラを操作するモノも存在する。

 そして、その使い手の中には〈心牙〉に至った人がいる。


「本来は俺が使うのですけど、他の人に使わせる事も出来る」

「で、では……」

「この糸を補助輪にして、ベニバナに〈心牙〉を使わせる」

「!」


 これは補助輪付きで自転車に走らせるようなモノ。だが、〈心牙〉は深奥。自転車程度の負担ではない。


「でも、かなり反動が来ます。死にはしないと思いますけど。多分」


 自信なさそうなオウカ。それでも問いかける。


「どうs」

「やりますわ。やってください」


 即答だった。

 それにオウカは笑う。


「わかりました。では」

「はい」


 そして、赤い糸がベニバナに巻き付いた。

 すると、彼女の意志とは裏腹に、オーラが立ち昇る。有色透明のオーラの色が濃くなって、ベニバナを覆い隠す。それと同時。


「ぐうぅ」


 ベニバナの口から押し殺したような悲鳴が上がる。そのまま椅子から転がり落ちて悶え苦しむ。それは暫く続いた。

 そして、暫く後。


「はあ、はあ」


 ベニバナは床に倒れ込んで荒い息を吐いていた。ペン一本持てない程の疲労をしてる。

 そんな彼女をオウカはお姫様抱っこで持ち上げる。


「保健室に連れてきます」

「……ありがとうですわ」


 そうしてオウカはベニバナを保健室に送った。

【コソコソ話】

(#ー#)<因みにベニバナはメイド服について指摘しなかった。


(#ー#)<校則ぶっちぎって着物と袴履いているしな。

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