EPISODE21:斬花
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<プレイヤー>を育成する学校のカリキュラムは、通常の学校の国語・数学・英語・理科・社会の他に、<プレイヤー>に関わる事、<ダンジョン>、<モンスター>、<オブジェクト>、<アーティファクト>について座学で学ぶだけでなく、実技でも学ぶ。
そして、戦闘訓練も存在する。生産などに進む<プレイヤー>に戦闘は付き物であるうえ、<スキル>を制御するための練習にもなる。
主に、生徒や教師と模擬戦が主だが、外部から<プレイヤー>を呼ぶ事もある。
そして今回の授業にはその人が来ていた。
「と言う訳で~、特別ゲストです~」
キョウコが紹介したのは一人の女性。紫の髪を右側サイドテールにして動きやすそうな装備に身を包んでいる。
「皆さん初めましてっす。クロガネ=ザンカっす」
礼儀正しく挨拶したのだが、次の瞬間、
「ジンナちゃ~ん!」
「離れて姉さん!」
突如、生徒の一人に抱き着いて頬擦りする。黄色の髪を短めにして、実技用の服に身を包んだボーイッシュな少女。ザンカの妹であるジンナだった
「会えて嬉しいっすよー」
「朝も会ったでしょう!?」
どうにか引きはがそうとするジンナだったが、ザンカの力が強すぎて引きはがせない。なので、
[止めた方がいいかな?]
[お好きにどうぞ]
オウカが動く。じゃれ合う(?)彼女らの背後一cmに音も無く現れる。
「そろそろ離れたらどうですか?」
「!?」
驚くジンナ。一方、ザンカは、
「シャア!」
一瞬で手に現れた大剣をオウカ目がけて振るう。しかも片手で。それを咄嗟に右手で抜いたナイフで受け止めるオウカ。
(片手では受け流すのは無理か。ならば)
ザンカのパワーに、オウカは一瞬で片腕では吹き飛ばされると判断。左手にもナイフを持ち、
「おっと」
両手でどうにか受け止め、衝撃を受け流す。
響く金属音。そして、オウカの足元が蜘蛛の巣に割れた。
「「……」」
両者睨み合う。
「ね、姉さん……」
「ど、どうなるんだ?」
「おい、お前止めろ」
「無茶を言うな馬鹿!?」
「「……」」
「……どうして~、こうなった~?」
見物人達が不安そうにする中、
「良いナイフっすね。アタシの一撃喰らって刃毀れすらしないなんて」
ザンカが口を開く。
「そりゃどうも。アイツも喜びます」
オウカが使う武器・防具は彼の異世界の友達の一人が作った物。天才鍛冶師である彼女の作品は凄まじい。
「それにアナタ自身の腕も良いっすね」
「いえいえ、まだまだ修行が足りません」
((アレで!?))
心の声が全員一致する。
実はオウカは本心でそう思っている。そもそも彼の戦闘技術は、とある裏技で一足飛びに身に着けたもの。だからこそ彼は謙遜する。
「人生一生修行っす」
「ですね」
そして、ピリピリした空気が霧散する。
ザンカが大剣を引き、オウカもナイフを仕舞う。
「ゴメンっす。真っ二つにしようとして」
((物騒!?))
ザンカが謝罪する。因みに彼女は本当に真っ二つにしようとしていた(笑)。
「いえいえ。この程度、昔は日常茶飯事でしたし」
((どゆこと!?))
オウカは笑って答える。実際その通りであり、異世界では邂逅一番で、刃物で真っ二つにしようとする奴や、鈍器で叩き潰そうとしてくる奴、射撃をしてくる奴がいた。
そして、物騒な会話に全員が内心でツッコミを入れた。
【コソコソ話】
(・▽・)<主人公の武器や装備は、<冥刀>関連を除けば
(・▽・)<友人の鍛冶師が作ってます。
(・▽・)<ナイフ以外も色々あるのでどんなのがあるかお楽しみに。




