EPISODE20:孤独
(一体どんな友人何だろう~?)
気になるキョウコ。そして、ふと気になった事を訊ねる事にする。
「でもさ~、そんな態度で友達出来た~?」
「……」
沈黙するオウカ。
実は決闘の後から、同級生や先輩問わずに避けられていた。
殺し屋だの、極道だの、ヤベー奴だのと言われる妙な噂が流れているのだ。
しかも、オウカ自体そこまで社交的ではないのが、事態に拍車をかけていた。
「どうなの~?」
「ボッチです」
完全一人だったら寂しさでどうにかなっていたかもしれない。だが、今の彼は一人ではなく、マユがいる。彼女のおかげで寂しさは紛らわせていた。とは言え、
「どうにかしたいんですけどね」
「やり返さないようにしたら~」
「それは無理です」
キョウコの提案を即否定するオウカ。
「……マタイの福音書って知ってます?」
「うん~? まあ聞いた事あるかな~」
キリスト教の聖典である、新約聖書に含まれている四福音書の一つ。マタイはイエス・キリストの十二使徒の一人である。
「〔右の頬を殴られたら、左の頬を差し出せ〕ってあるじゃないですか」
「うん~、それは知ってる~」
これの解釈は色々があるが、やり返すなというのが一番ポピュラーである。だが、
「友人が言ってました。アレは間違ってるって」
「ほう~」
彼の脳裏によぎったのは友人の一人。
「差し出したら、左の頬を殴られるどころじゃすまない」
「うん~」
「相手は調子に乗って更に殴って来るって」
彼女の経験則である。
「だからいつも言ってました。〔右の頬を殴られたら、左の頬に肘打ちをしてから、ボディブローを叩き込め〕って」
「物騒~」
「因みに言った人はシスターです」
そんな苛烈な性格のせいで破戒僧ならぬ “ハカイシスター”と呼ばれていた。
「マジで~?」
そんなコメントしか出ないキョウコ。
とは言えオウカがやり返す理由はわかった。
(でも~、このままじゃなあ~)
“とある行事”が近い中、流石にボッチでは不味い。これでも担任なのだから、どうにかしなくてはならない。
(せめてクラスメイトと~、打ち解ける何か良い案ないか~)
髪の毛を弄り思考する。そして、
「あ、そうだ~」
「?」
[?]
何かを思いついたらしい。
「じゃあ~、もういいよ~。やり過ぎないように~」
「努力と~善処してみます~」
「口調真似しないで~」
そういう訳で、職員室を出て行くオウカ。取り敢えず教室に戻ろうと歩き出す。そこへマユが念話で話しかける。
[一体何を考えているのかしら?]
[さあ?]
心の中で肩を竦める。
[更に悪い事態にならないと良い]
[同感だ]
この二人は今までの経験上、物事を悪い方へ考えがちである。
【コソコソ話】
(・▽・)<リメイク前もいたシスターさん。主人公の回想にちょっと登場。
(・▽・)<とは言え、結構どころか、滅茶苦茶変わりました。
(#ー#)<どれだけ?
(・▽・)<リメイク前は優しすぎる人が、
(・▽・)<とあるきっかけで闇堕ちして
(・▽・)<大惨劇を巻き起こしました。
(㈩*㈩)<今作では虫一匹殺せない優しい人が、
(㈩*㈩)<とあるきっかけで「る○うに剣心」の「安○和尚」になった。
(#ー#)<……後者はあまり変わっていないような?
(・▽・)<その最後もかなり違います。
(・▽・)<……遺したモノも。




