一九一「自己紹介からのスタート」
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そうして、本格的な練習が始まる。
大会までの期間は授業が少なくなり、その分練習時間を取れるようになる。
とは言え、選手以外は、「授業が減ってラッキー、さあ遊ぼう!」という訳にはいかない。選手のサポートがあるうえ、それをしない人の場合、山のように課題が出る。≪天ノ角高校≫一丸となって頑張ろうと言う訳である。
そういう訳で、オウカはチームメイトと練習に励む事になった。
広い空間の中央に集まる五人。その音頭を取る事になったのは――彼である。
「さて、集まって貰った所でまずは自己紹介といこう。知らない面々もいるだろうからね」
一人目。白髪にサングラスの男。
この高校で一番有名な人。
「まずは私から。皆もご存じ、三年のカミキ=シンノスケだ。生徒会長をやっている」
知らない奴は多分不登校の生徒ぐらいだろう。
「“二ツ神”の通り名を持っている」
この通り名、本人もまあまあ気に入っているらしい。
「《レッドクロス〔ライト〕》と《ヘーゼルクロス〔マンティス〕》の<Dクルセイダー>だ」
万能な光を操る事で、攻撃、防御、移動、回復、補助まで可能。そこにカマキリのチカラにより、身体能力を引き上げ、飛行能力まで手に入れた。
「宜しく頼む」
二人目。着物、袴、ブーツ、リボン、ドラゴンが特徴の女。
次に話し始めたのは、彼女である。
「三年生のハナヤマ=ベニバナですわ。生徒会の副会長をやっていますわ」
この人もかなり有名である。服装が滅茶苦茶浮いているので。
「好きな物は――ドラゴンと和ですわ!」
見れば分かる。話しても分かる。
「《グリーンクロス〔ドラゴン(東洋龍)〕》の<クルセイダー>と、竜のチカラを宿した<シャーマン>ですわ」
近接主体かと思いきや、中距離・遠距離の攻撃手段もあり、搦め手も持つ万能な<プレイヤー>である。
「宜しくですわ!」
三人目。短くもなく長くもない茶髪をして、少しだけ着崩して制服を着ている男。
手をひらひらさせて喋り始める。
「三年のスドウ=リョウだ。風紀委員長をしている」
オウカとも面識がある。
「“器用貧乏”とか、“ザ・平均点”って呼ばれてるな」
実はもう一つ“貧乏くじ”という通り名まで持っている(笑)。本人は嫌っているが。
「<プレイヤー>としての分類は<ファントム>で、色々こなせる」
彼は一点特化には劣るが、武器により戦闘から、魔法による属性攻撃、回復、補助までこなせる万能型。だからこその器用貧乏。因みに筆記テストも全教科平均点を取る。
「まあ宜しく」
四人目。金髪金眼の少女。セーラー服を着こなしている。
礼儀正しく話し始める。
「二年生のクドウ=カナタです」
出場については家から許可は貰ってる。去年も新人戦に出場し、優秀な成績を収めたからこそ選ばれた。
「趣味はレトロゲームですね。色々やってます」
VRゲームよりコントローラーを使うゲームが好きなのである。因みに最近はシュティーングゲームをよくやる。
「色々な刀と、様々な呪符を使って戦う<ノーブル>です。<クラフター>としても動けます」
彼女もかなり万能なタイプである。しかもまだ成長を続けている。
「胸を借りるつもりで頑張ります。宜しくお願いします」
五人目。灰色の長い髪の毛をした、小柄で中性的な少年。
全員が年上なので、丁寧に話す
「どうも。一年、サクヅキ=オウカ、ただの魔王です」
五指から糸を出して続ける。
「制限付きの<デュナミスト>です」
手札は多いが、制限も多い。
「宜しくお願いします」
こうして自己紹介は終わった。




