一七八「意外とベストマッチな二人」
【前書】
(・▽・)<皆さん、一週間ぶりです♪
(・▽・)<安心してください。この章は、前章と違って平和です♪
(#ー#)<……平和? 平和って何だっけ?
(㈩*㈩)<人々が争い、殺し合う世界。
(・▽・)(#ー#)<絶対に違う!?
△▲△
それは、とある戦闘の後に交わされた会話。
そこには幾人もの人間がいた。
だが、辺り一面は、命だったものが転がっている状態であり、その中で生きているのは二人。
髪の長い少年と、髪の短い少女。
少年は両手にロングナイフを持ち、少女は右手に三日月刀を持っている。
どちらの武器も血と油に濡れているが、その体には傷はなく、多少の返り血がある程度。
少女が溜息を吐きながら、腰に三日月刀を収める。
「はぁ、手応えのない……」
「楽に済むならそれで良いと思うけど」
この二人は、この近隣を根城にしている、野盗を始末するためにやって来た。結果は御覧の通り、雑魚ばかりで鎧袖一触だった。だがそれが少女には気に食わなかったらしい。
「わかってないね、サクは」
「何を?」
「人生は楽しまないと」
「それはわかる」
一度しかないのだから。だがコイツの場合は違う。
「戦いこそが人生なのだから」
少女の言葉に少年――サクヅキ=オウカは半眼になる。彼はこの少女の気質――戦闘狂なのを知っている。
敵が強敵であればあるほど、苦戦すればするほど燃えるらしい。
「お前は、本っ当に戦いが好きだな」
「当然さ。だからソルは今の世界が好きだし、戦いの中で死ぬと決めている」
そんな彼女――ソルドアットの言葉をオウカはこう返す。
「俺はこの世界は嫌い」
「知ってる。サクは弱肉強食が嫌いだもんね」
「当たり前だ。だってそれは獣の論理だ」
人間の真価は弱者を救おうとした事。だからこそ、社会保障が出来て、どんな人でも幸せに生きられるようになった。なのに、この世界は完全に逆行し、外道、畜生、害悪、下衆しかいない。
「それに弱肉強食の果ては何も残らない。皆死ぬ」
この世界はそうして滅ぶ。
その言葉に、ソルドアットは神妙な顔をする。
「まあソルも今の世界は酷すぎると思う」
「おう」
彼女は人の心が存在する。だからヒトである。
「でもさ、平和になったら、ソルの居場所はなくなるね」
「そんな事はないだろう」
「え」
オウカの返しに、ソルドアットはキョトンとした顔をする。
「完全に争いはなくならないだろう。それにさ」
一拍置いてオウカは続けた。
「お前はセラと違って殺したい訳じゃないだろう?」
「うん。ただ戦いたいだけ」
「だったら、偶になら付き合ってやるからよ」
オウカ――友達の言葉にソルドアットは花のような笑みを浮かべた。
「じゃあ今から、遊ぼう!」
「……はいはい」
そして、二人はエモノを構えぶつかり合った。
こういう日々は全ての決着が付き、二人の道が違えるあの日まで続いた。
この時の二人は知らなかった。最終的に全存在を掛けて殺し合いをする事を。
【後書】
(・▽・)<唐突に出てきましたね。しかしソルが出て来るとは……。
(#ー#)<知り合いなのか。つーかコイツって誰? 今まで出て来たか?
(㈩*㈩)<少し触れられてる。
(#ー#)<どこだよ……。
(㈩*㈩)<ほら、最初の方で、サクが手足無くなっても戦い続けた奴がいるって思い返していたでしょう?
(#ー#)<え!? コイツなの!?
(㈩*㈩)<うん。
(・▽・)<凄まじい戦闘狂ですからね。




