174話:強・化・強・化
ところが、そこへジョージが水を差す。
「そこまでだ。お二人さん」
「「!」」
間に割り込む。それに不愉快そうにルラが眉を顰め、オウカも顔を顰める。二人共殺気を向ける。
「このタイミングで邪魔をしますか……」
「同感。折角温まってきたのに」
「だからだよ」
ジョージは肩をすくめて続ける。
「このまま続けたら、どっちが死にますよ?」
その言葉に二人共納得。とりあえず殺気を収める。
そして、三人は話し合う。
「じゃあ、結局どうする? 譲ってくれるって言う事でいいのか?」
「それでも構いません。ですけど、こっちも死んだ証拠が欲しいのです」
「生きてられたら困るからな」
そういう二人にオウカは考える。
「ふむ(。じゃあこうするか……)」
そして、良い案を思いつく。
オウカはとある提案をする。
「わかった。じゃあさ――」
それに二人も了承する。
「いいでしょう」
「いいぜ」
という訳で三人でカチコミに行くことになった。
その道中、ルラがオウカに訊ねる。
「そういえば少し気になったのですけど」
「ん?」
「先程の木の枝を強化していましたね」
「うん」
素直に頷くオウカ。隠す事でもないし、バレているので話す。そして彼女に聞き返す。
「でも、そっちも似たような事してたでしょ?」
「フフフ」
笑ったルラ。そして、話し始める。
「私……いえ、私達≪円卓≫には【セイレイサマ】から特殊なチカラが与えられているのです」
「噂に聞く加護か……」
「いえ、それとは別です」
「姐さん! それは……」
「良いのですよ。どうせ調べればバレますし」
ルラ曰く、≪円卓≫のメンバーには《加護ノ翅》と呼ばれる、七つの美徳と七つの大罪の名を持つ特殊な<スキル>が与えられているとの事。
「私は《謙譲》による武器の強化、彼は《嫉妬》による感覚の強化です」
「姐さん!? 何でオレのチカラまでさらっと言ってるんです!?」
「……ノリでしょうか?」
「軽い!?」
さらっと手札を漏らされたジョージ。
そんな彼らにオウカも自身の手札を明かす。
「俺も似た事が出来ます。<冥刀>のチカラで」
思い出すのは彼の親友、モンセラート。連続殺人鬼から仕置人へとジョブチェンジした戦闘の天才。彼女が使っていたエモノ。
「【ルンペルシュティルツヒェン】。武器の強化が出来るんです」
「私のチカラと同じ事が出来るのですね……」
「……」
感心しているルラに対して、ジョージは違和感を抱いていた。
(嘘は言っていない。でもどういうカタチかと、強化倍率を言っていない)
だが、こちらも正確な事は言っていない。なので。
「なるほど……ね」
納得しておく事にした。藪をつついて蛇を出したくないジョージだった。
【TIPS】
【ルンペルシュティルツヒェン】
(・▽・)<私のエモノ♪ では説明お願いします♪
(㈩*㈩)<わたしがやるの? まあいいけど。
(㈩*㈩)<前も話した須臾叢雅の最後の作品。最高傑作にして超問題作。
(#ー#)<何が問題なんだ?
(㈩*㈩)<……ネタバレになるけどいい?
(#ー#)<ああ。
(㈩*㈩)<元々須臾の作品は、指輪とか、ブレスレットとかのアクセサリー型をしている。
(#ー#)<……刀だよな? まあ今更か。
(㈩*㈩)<で、形は水引根付。イメージ的にはF○teサムレムの主人公の刀に付いていたアレ。
(#ー#)<ツッコミは入れねえぞ。
(㈩*㈩)<それで、コレのチカラは武器強化。鵐目や栗形とかの、開けた穴のふちの飾りに付けるとその性能を強化する。
(#ー#)<そんな間接的にやるより武器を作れって感じだな。
(㈩*㈩)<そう。だから問題作。しかも、使ってた人も問題児だったから……
(#ー#)<……ああなるほど。
(・▽・)<聞こえていますよ? どういう意味です?
(#ー#)<さあな。
(㈩*㈩)<だからこそ、普通に使っていなかった。これについてはいずれ。




