ⅩⅦ「帰宅と繋ぐ手とハンバーガー」
「もう少し手加減出来なかった~?」
「さてどうでしょう?」
フフフと笑い合う両者。
そして、
「俺はこれからどうしましょう?」
「うん~?」
オウカの疑問にキョウコは周りを見渡す。辺り一面には命だった者が散らばっている。……死んではいないが。
「キミは、他者に対する回復や治療ってできる~?」
「微妙な所です」
「~?」
オウカの言い方に首を捻るキョウコ。
「縫う事ならできますけど、回復や治癒促進は出来ません」
「そういう事~。(縫う?)」
半分納得するキョウコ。そういう訳で、オウカはサポートに徹する事になった。そして、全員に処置を施した後、帰宅の許可を貰った。
「後はやっとくから~。ゴンダセンセイの事も任せて~」
との事。
そして、去り際に、
「悪い様に~、ならないように~、しておくからね~」
キョウコはそう言った。
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そういう訳でオウカは帰宅の途に就いた。
「さて、どうなる?」
「大丈夫」
呟くオウカに、櫛から人に戻ったマユがコメント。
「あなたは真面目にやったのだから」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
隣だって歩く二人。ナチュラルに手を繋いでいる。
「それでこれからどうする?」
「取り敢えず今は……」
「今は?」
「夕食を食べよう」
朝食は御飯と味噌汁、昼食は野菜うどん。
こういう軽めのメニューだったうえ、戦いをしたので、お腹が空いているオウカ。マユには食事は必要ないが、栄養補給は可能なので無駄にはならず、味は分かる。
「ここ?」
「うん」
彼らがやって来たのはハンバーガーのチェーン店。程々の値段で、ハンバーガー、サイドメニュー、飲料のセットが食べられる。
「久しぶりにこういうの食べたかったんだ」
「確かに、異世界にはなかった」
オウカは、照り焼きハンバーガー、チキンナゲット(ソース付)、100%オレンジジュース。
マユは、野菜バーガー、ポテト、ジンジャーエール。
「炭酸好きなのか?」
「シュワシュワ感が好き」
会話を交え食事を取る。時にマユがポテトにナゲットのソースを付け味変したり、オウカがポテトを分けて貰ったりしながら、ゆっくり食べていく。




