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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
弐ノ章~みんなで実習キターッ!~

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168/706

168話:莉・亜・蘭・子

 ******



 学校内を一人の少年が歩く。その肩には手のひらサイズの機械アリ。オウカとネラである。

 ネラがオウカに話しかける。


「彼女、放置、平気?」

「先生に言伝頼んだし」


 マユは<冥刀>の修理中で、手を離せない。なので、オウカはリアとランコの様子を見に行く事にした。とは言え、話しかけるのもアレなので、キョウコに言伝を頼んでおいた。

 そうして歩いていると、リアがいる保健室に付く。


「隠れてろ」

「承知」


 ネラが懐に隠れたのを確認して、ノック後、挨拶をしてから入室する。


「失礼します」


 オウカはカチコミじゃない、入室もやろうとすれば出来る。


「ああお前か」


 ランコだった。意識を取り戻したらしく、リアが眠るベッドの近くの椅子に座っている。全身包帯だらけで痛々しい。


「大丈夫か? ミイラ女状態だけど?」

「そのセリフをそっくりそのまま返そう」


 オウカも結構ボロボロである。


「こっちは大丈夫」

「そうか。それならこっちも大丈夫だ」


 オウカは室内にあった椅子を持ってきて、ランコの傍に座る。

 とは言え二人共何から切り出して良いのかわからず、沈黙が続く。


「「……」」


 そして、先に切り込んだのは――オウカ。


「すまなかった」

「な、何が……」

「リアに【セイレイサマ】の呼び出しを使わせてしまって」


 これでは護衛を引き受けたのに形無しである。

 その言葉にランコは――苦笑する。


「いやお前はよくやってくれた。私だけでは守り切れなかった……」


 眠るリアの手を握るランコ。


「私はまた過ちを犯す所だった」

「また?」

「……まあ言ってもいいか」


 疑問符を浮かべたオウカへランコは説明を始めた。

 かつて自分が魔法の制御をミスして、リアを巻き込み大怪我をした事、そんな彼女を助けるためにリアはピーキーな<スキル>を習得した事。


 それを聞いたオウカは一言。


「アレはそういう意味だったのか……」

「覚えていたか」


 ほんの少し苦笑したランコは、表情を引き締めて続ける。


「私はな、リアちゃんの生き方を決めてしまった。だからその償いをしなければならないんだよ」

「そっか……」


 それに対しオウカはただそう言った。

 彼はそれを間違っているとか、止めた方が良いとは言わない。

 だが、


「おい、いつまで狸寝入りしてんだ?」


 お節介なら焼く。

 オウカの言葉にリアが目を開けた。そして、オウカの方を見て、いたずらがバレた子供のような顔になる。


「……いつから気づいていましたか?」

「最初から」


 そして、オウカは席を立ってリアに声を掛ける。


「リア。すまなかったな。負担掛けて」

「いえ、アレは自発的にやった事なので」

「そう。そう言ってくれると嬉しいよ」


 二人に背を向ける。


「サクヅキ=オウカはクールに去るぜ」


 扉を開けてこの部屋から出て行った。そして、歩き出す。


「後はあの二人次第だな」


 その呟きにネラが反応する。懐から出て肩に乗る。


「仲直、可能?」

「喧嘩している訳じゃないけどな。……ある意味喧嘩より質悪いか」


 苦笑するオウカ。そして、表情を引き締める。


「まあ暫くしたら戻ろう。やる事は山積みだからな」

「了承。当機(わたし)、貴方、従属」

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