150話:四・重・突・破
疾走しながら、空中機雷を仕掛けるランコ。
その爆破攻撃を巨大ハンミョウは掻い潜りランコへ迫る。
操縦しながらカツトは思考。
(向こうの爆破は厄介だが、こちらの防御を突破出来ない)
木々や岩々を薙ぎ倒す巨大ハンミョウ。ランコへ向けて迫る。
(一体奴は何を狙っている?)
逃げたとは思わない。絶対に何か狙いがある。
そして、遂にランコが止まる。
「観念したか……」
その言葉にランコは――笑う。
「それはこっちのセリフだ。観念しろ」
手に持った槍を地面に突き刺した。その途端、巨大ハンミョウを囲むように巨大な魔法陣が起動した。
「これは!?」
カツトは理解する。ランコは逃げながら魔法陣を描いていた。それに加え、彼女が立ち止まった場所は、昨日のキャンプ地。そこにランコは色々仕込んでおいたのだ。
実はオウカは、昨日彼女に助言していた。
「なあサクライ。お前さんって魔法の遅延発動って出来る?」
「愚問だな。元より私は罠を張っての戦いが得意だ」
「ならさ、丁度いいから何か仕込んで置いたら?」
「何故今頃?」
「今日だから」
オウカは断言した。
「絶対相手は何かしら起こす。だから準備しておけ」
そして、彼は何かを思い出すように言う。
「師匠が言っていたんだけど、死なないために死ぬ程準備するのは当然なんだとさ」
だからこそ、ランコは準備した。そして、それらは無駄にならなかった。
「セット」
ありったけ投槍(回収機能がある【匣】に入っていたのも含め)と、爆裂光球をばら撒く。そして、
「エクスプロード!」
その言葉と同時、巨大ハンミョウを周囲を大爆発が起こる。それが連鎖していく。
「舐めるな!」
だが、巨大ハンミョウは未だ健在。
爆発の中、遂にランコは見つける。そして、槍を片手に特攻。バフも載せた突きを放つ。
「ハア!」
「特攻か。芸がn」
カツトは最後まで言えなかった。響いたのは何かが砕ける音。
「な!?」
巨大ハンミョウの一部が砕けた。それに驚愕するカツトだが、同時に理由を悟る。
(なぜ!? 石目か! それにダメージも積み重なったか……)
ランコは笑って告げた。
「ダイヤモンドは砕けない、そんな事はない。砕け散れ」
その言葉と同時、槍――【ブラストランス】が大爆発。それに重ね、辺りで一番の大爆発が起こった。
その結果、巨大ハンミョウは半壊した。
「……く」
搭乗者であるカツトも重傷。そんな彼の首元に槍が付きつけられる。実は先程の爆発、威力を高めるために、〈耐性突破〉が付与してあった。そのため彼女はボロボロだった。だが、まだ動ける、戦える。
「降伏するなら命はまでは取らん」
それにカツトは、どこからか出した白旗を上げた。
【後書】
(・▽・)<サクライ=ランコ対エンマンドウ=カツト。決着。
(・▽・)<勝者サクライ=ランコ。
(・▽・)<仕込みの罠、魔法陣、ありったけの爆発、最後の槍
(・▽・)<この四つでどうにか突破。
(・▽・)<一つでも欠けていれば負けていました。




