148話:三・十・字・架
ジョウキチは自身が所有する武器を全て【匣】から放出。それと同時、彼の姿が変貌。背が低くなり、髪が伸び、体が女性と化す。更に、八本の腕が生えた。そして、それぞれの腕に武器を持つ。虹彩の色は緑。
《グリーンクロス〔ドゥルガー〕》。
カンナのローブが脱げた。そこから現れたの背中が剥き出しのレオタードのような衣服を来た美女。その背から生えているのは蛸の八本足。虹彩の色は濃褐。
《ブラウンクロス〔オクトパス〕》。
イチコの手足が鉄塊のようになり、硬く強靭になる。虹彩の色は白。
《ホワイトクロス〔アイアン〕》。
そして、変貌を終えた三人は動く。
「こうなったからにはとっと決めるぞ」
「「ええ!」」
実はこの三人、全員能力的には大当たりで、戦闘スタイルとの相性は良い。だが、能力自体が嫌いなので、あまり使いたがらない。
「オラよ!」
ありったけの武器がフタオ目がけ飛ぶ。威力が増したそれを、衝撃砲弾で撃ち落とすが、それらは陽動。
ジョウキチが本命を――弓矢を構える。
その矢にカンナがバフを掛ける。更にその効果を多重化させる。タコは脳が九つある。だからできる芸当。
「ハア!」
放たれる強弓!
一直線に迫る矢を、巨大コオロギはどうにか振動波で撃ち落とそうとする。だが、幾つものバフが重なった一撃は消えない。
(不味い!)
どうにか一点集中させ打ち消す。だが、敵は二人だけではない。
「私このチカラ嫌いなんです」
「!」
頭上から声が響く。
「だって、鍛錬とか関係なく硬くなりますし」
イチコが頭上にいた。全身を鉄化させ、彼女は拳を巨大コオロギに落とす。咄嗟に衝撃波を繰り出すが、それを諸共せず拳は巨大コオロギに刺さる! 巨大コオロギは潰れた。
驚くフタオ。
(馬鹿な!?)
確かにソフトインセクトが元でも、程々に防御力はあるうえ、衝撃波を盾にした。それ諸共貫いた。
その理由はイチコの<スキル>だった。
幾つかの縛りと引き換えに、拳の攻撃と防御を引き上げ、パンチやチョップの威力を上げる〈鉄拳〉。それに〈衝撃拡大浸透〉を重ねた。
だからこそ、彼女はこのパーティーでアタッカーでタンカーなのだ。
そのままイチコは左を手刀にして、巨大コオロギを切り裂き、フタオを引きずり出した。
「……!」
こうなってはどうしようもない。両手を上げるフタオ。
だが、イチコは容赦しない。
「殴る人は殴られる覚悟を持ちなさい」
「ッッ!?」
手加減したアッパーが炸裂。フタオの意識を刈り取り、吹っ飛ばした。
【TIPS】
《グリーンクロス〔ドゥルガー〕》
(#ー#)<幻獣のチカラを使えるのが《グリーンクロス》。結構珍しい。
(#ー#)<その中で更に珍しいのが神になる奴だ。コイツはソレ。
(㈩*㈩)<アレ? ドゥルガーって女神だよね?
(#ー#)<ああ。そうだ。《クロス》はガチャだから、こういう事もある。
(#ー#)<能力的には大当たりだったんだが、見た目が女になるせいか。
(#ー#)<コイツ的には外れ。こういう事があるのが《クロス》。
(㈩*㈩)<本当にガチャなんだね……。
《ブラウンクロス〔オクトパス〕》
(#ー#)<昆虫や蟲以外は《ブラウンクロス》だからタコはこれ。
(#ー#)<コイツはタコの性質――脳みそ九つを活かして魔法を多重化させる。
(#ー#)<実は心臓も三つに増えているから、生命力も上がってる。
(#ー#)<だが、本人は足が多い生き物が苦手なので、あまり使いたくない。
(・▽・)<一ついいですか? 贅沢言うな!
(#ー#)<ごもっとも。でも本当にガチャだからな。
《ホワイトクロス〔アイアン〕》
(#ー#)<《ホワイトクロス》は大きく分けると二つ。
(#ー#)<生成しての操作か、自分をその物質にするかだ。
(・▽・)<……悪○の実?
(#ー#)<言うな!? んでコイツは後者。実は前者のタイプもいる。
(#ー#)<打撃や防御だけじゃなく、腕を変形させて斬撃も可能。
(#ー#)<<スキル>の重ね掛けでその一撃はヤバイ。
(#ー#)<そして、こちらも心情的に使いたがらない。
(#ー#)<鍛錬していたのが馬鹿らしくなるからって。
(㈩*㈩)<でも、まったく無駄にはならないでしょう?
(#ー#)<たりめえだ。
【後書】
(・▽・)<三人組対フタオ。三人組の勝利♪
(・▽・)<……。
(・▽・)<今回は後書きが長い……。
(#ー#)<ああ。そうだな……。
(㈩*㈩)<次回はどうにか調整出来ればいいんだけど……。




