130話:実・習・本・番
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リアが消えた同時刻。
その瞬間をキョウコは見ていた。思わず叫ぶ。
「やられた!」
その言葉に、教師や<プレイヤー>がキョウコのテントに入って来た。
「どうしまs」
「何かあっt」
その言葉を遮るようにキョウコは告げる。
「カミヨさんがどこかに飛ばされた!」
「「!」」
全員が驚き硬直。そして、漏れたのは疑問の声。
「な、何でカミヨさんが?」
「〈転移封鎖〉は一体?」
「どうすれば……」
そんな彼らにキョウコは手を叩いて正気に戻す。
そして、彼女は指示を出していく。
「実習はただちに終了! 生徒全員に集合場所に集まるように伝えて!」
「え、ですg」
「ですがもへちまもない! 早く」
「あ、はい!」
教師の一人が出て行くのを見届けると、他の面々を見る。
「他の人達は生徒の所へ行って!」
「え、でs」
「いいから!」
「せ、せめて理由を……」
一人の教師の言葉に、キョウコは答えようとした時だった。先程とは違う教師がテントに飛び込んで来た。
「アシヤ先生! タナカ君から連絡です」
「今出る」
端末を受け取り出る。
「そっちはどういう状況?」
[サクヅキはモノリスを探ってて、サクライは辺りを探しています]
「そう。とりあえず君達も待機場所へ行って!」
[わ、わかりました]
「それと、サクヅキ君に代わって!」
[あ、はい]
そうしてオウカが出て来る。なので端的に訊ねる。
[代わりました。俺です]
「何かわかった?」
その言葉に一拍置いてオウカは答える。
[どうやら何かしらの<アーティファクト>で〈転移封鎖〉から逃れたようです]
「ッ!」
[でも、おそらくは完全には無理。この森のどこかにいます]
それは確実に言える。広範囲・高威力の術を完全に破る事など不可能。
「探せる?」
[やれます]
「お願い!」
[はい。ではこっちからもお願いが]
続くオウカの言葉にキョウコは絶句する事になる。
だが、理由を聞いて納得する。
「わかった。じゃあ頑張って」
[はい]
「あ、ちょっと待って!」
[?]
キョウコはにんまりと笑って、間延びした口調にして告げた。
「後始末は~、こっちでするから~、派手やっていいよ~」
[わかりました。先生がクビになる勢いでやります!]
「やめて!?」
端末は切れた。
(言い過ぎた……)
ちょっと後悔したが、今はそれどころではない。
「さあ、皆! 配置について! 後、ワタシが言う人は個別に指示があるから」
「だから理由w」
「これで終わりじゃない。ここから何か――来る」
それはオウカとキョウコの一致した意見。
ここからが本番だと。




