ⅩⅢ「豚足と達磨と濃褐色の目」
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相手の攻撃を回避したオウカが出したのはナイフ。態勢を低くして敵に向かう。まずに目指すのは取り巻き達。
相手は隙だらけ。
「豚足を切ろうか。後で毛抜きして貰え」
[湯剥きの機械と、ガスバーナーが必要]
「ギャァア!?」
「イギィーー!」
「ヒトォー!!」
そして、邪魔者の両足を容赦なく切断する。
「嘘を付け。お前らは豚、いや豚さんに失礼だな」
[うん。豚未満]
「ついでに前足も落としておこう」
「ヤメテー!」
「グエエーー!?」
「ウデェー!!」
ついで全員前足(両腕)も落としておく。これで安心。……まあ安心じゃないのもいるが。具体例はオウカの友人であった戦闘狂。アレは四肢が捥げた位では止まらない。
「舐めやがって!」
「ぶち殺してやる!」
剣や槍を持ち、襲い掛かって来る無事だった二人。何かしらの<スキル>を発動させバフを載せた一撃を放とうとしている。だが、
「うるせえ。静かにしろ」
「ポゲェー!?」
剣の方はオウカにナイフの柄で殴られ、鼻が圧し折れ怯んだ所へ。
「お前は達磨」
「ギャアァア!」
ナイフが三閃。手足を斬り落とす。
「オラア!」
「何だそれ? 遊んでいるのか?」
そこへ槍の方が飛びかかるが、オウカの体捌きを捉える事は出来ない。
「くだらん事をする前足だ。切断しておこう」
「イヤァア!」
次の刹那、オウカは躊躇なく、容赦なく、両腕を斬り落とす。
「シィー。静粛に」
「ボグゥ!?」
左手の人差し指を唇の前に立て、顔面を蹴り飛ばし、あっという間に剣の方と同じ状態にする。
「痛い……」
「腕ェ……、足ィ……」
「きゅ、救急車……」
あっという間に取り巻きは戦闘不能になった。しかも大半の手足が無くなり達磨となっている。
「な、なんだこれ……」
その状況に唖然とするヨシムラ。
今回の決闘は彼にとって願ったり叶ったりだった。丁度良い的を叩きのめし、あわよくば殺害するチャンス。だからこそ、少し強引な手段を使ってこの決闘を準備した。それなのに出来上がったのはこの状況。
「どうした? お前は殴り合いが得意だそうだな」
そんな彼をオウカは挑発する。
「ナイフは使わないでおいてやる」
ナイフを仕舞い、無手となるオウカ。
「俺とやってみるか?」
それを聞いたヨシムラがオウカに飛びかかる。
「ふざけんな!」
ヨシムラの《クロス》が発動。彼の姿が変わっていく。
獣耳と尻尾が生え、爪牙が鋭くなり、肌が毛皮に覆われていく。一瞬で人間と獣の中間のような姿となる。毛皮の特徴からヒョウ……否、斑紋の中心に点を持っており、頭が大きくずんぐりとしている。
《ブラウンクロス〔ジャガー〕》である。
「オレは! 強いんだ!」
スピードが段違いに上昇する。勿論パワーとタフネスも上昇している。更に、親の財力を使い貴重な<スキル>の習得に成功。この二つが合わさったフィジカルで相手を叩きのめすのがヨシムラの戦法。シンプルで強力ではあるが、
「何だそのパンチは? 俺の方が強い」
「グガァア!?」




