129話:急・転・直・下
そして、最後のチェックポイントに到達。そこにあるモノリスに魔力を流せば良い。とは言え一人ずつなので、
「じゃ、ワイから」
最初はタナカから。それが終わると、タナカが伸びをする。
「これでクリアや~」
その様子を見てランコが呟く。
「大丈夫そうだな」
「え、何が?」
「いや、もしかしたら罠があると思ってな」
「ワイは実験体!?」
オウカは二人のコントを無視して自分も流す。
「うん。OK」
そう言うとリアに呼びかける。ランコは漫才中なので無視。
「リア」
「あ、はい」
そう言ってモノリスに魔力を流そうとするリアだったが、
「リア様! 私が先にやります。何かあるといけません!」
「え、でも」
「三人やって様子を見ないと」
「俺も実験体?」
オウカの呟きを無視して、ランコはモノリスに魔力を流す。
「異常はなさそうです。どうぞ」
「はい」
そして、リアはモノリスに触れた。
その瞬間、リアが消えた。跡形もなく。
あまりに突然の事に、反応出来ないランコとタナカ。漏れたのは声。
「え……」
「は?」
だが、反応出来た者がいる。オウカだった。
「まさか!」
即座にモノリスに近づく。髪に挿した櫛を抜き、モノリスに近づける。そして、マユに聞く。
[どうだ?]
それと並行して、呆然としている二人にも声を掛ける。
「おい! ボサっとすんな!」
「「!」」
オウカの声に我に返る二人。ランコが当たり一体を探し始め、タナカは緊急事態用の端末を出して連絡。
「リ、リアちゃん!? い、一体どこへ!?」
「えっと、こういう時は……連絡!」
そして、マユはモノリスの鑑定をする。彼女は(一応)刀工であるので、物品の鑑定は得意。何かしらのギミックすら見抜ける。それは別の術理で成り立っているこの世界の技術も可能。
マユが念話で話しかけて来た。
[何か仕込みがある。四人目の人が特定の魔力を流すと、飛ばされるようになっている。しかも隠蔽されている]
[おいおい、〈転移封鎖〉は?]
[わたしにはわからない。でも、何かしら抜け穴があるんじゃないの?]
[抜け穴?]
オウカはこめかみを揉んで考える。だが、今はそれよりもリアの身の安全が第一。なので並行で思考しながら、マユに訊ねる。
[どこに飛ばされたかはわかるか?]
[わたしより、あなたが適任じゃないの]
[え]
[あなたが最初に使った<冥刀>は?]
その言葉に思い出す。【オートクレール】の真の姿を。
「そうだったな」
腰に佩刀している古代剣に触れて頷いた。




