122話:見・張・如・何
夕食を食べ終えて早めに休む事にする。簡易的な<モンスター>避けは張ってあるが、効きづらいモノもいるので見張りは必要。
オウカが三人に問いかける。
「どういう順番で行く?」
「普通に考えれば……四交代か、二交代やな」
一人ずつやるか、二人一組でやるか。
オウカとタナカの言葉に、ランコが提案した。
「ここは危険性がそこまででもない。だから一人ずつでいいだろう?」
「……まあ、確かに」
「それと……」
ランコの視線がリアに向く。そして、彼女が提案した。
「三交代でお願いしたい」
それにタナカとオウカが妙な声を出す。
「うん?」
「……ふむ」
少し間を置き、タナカが訊ねる。
「四交代やなくて?」
「ああ。今日の道のりはリア様には負担だったからな」
「ランコ! 私は大丈夫ですから」
「駄目です。負担がかかっていたでしょう!」
その言葉に、タナカの眼が細くなる。雰囲気が険呑になっていく。
「それはワイらも同じやで?」
「わかってる。だからリア様の分は私が引き受ける。それなら四交代のままだろう」
「ランコ! それではあなたの負担が増すではないですか!」
「それは何か違う気がするで」
言い合いとなる三人。それをオウカは暫く見ていたが、収まりが付かなそうなので、介入する。
オウカは手と手を合わせ音を鳴らす。
「はいそこまで」
三人の視線がオウカに向く。
そして、オウカは提案した。
「じゃあ、こうしよう」
******
そして、四交代制となる。
順番はリア→ランコ→タナカ→オウカとなる。
勿論、ランコは異を唱えたが、それにオウカはこう言った。
「リアもやるって言っているんだ。心配なら見ててやれ」
「……まあそれなら」
そういう訳で夜の見張りが始まった。
そして、これは余談だが、タナカとオウカとの間にこんな会話があった。
「それにしても」
「?」
「カミヨの事、名前で呼んでいるんやな~」
「そうですが何か?」
「いや、別に攻めとる訳やなくてやな」
「何か」
「いや、あの」
「何だ」
「……あやまるから、その圧はやめてな~」




