118話:火・焔・炎・上
「《クロス》解放」
タナカのその言葉と同時、角膜と結膜が反転。そして、十字架のような紋様が浮かび光る。虹彩の色は――赤だった。
それを見たオウカは、ほうとなる。
(《レッドクロス》……自然か)
火、雷、氷などの自然で起こる事を発生させて、操作するのが《レッドクロス》。使い手自体はその影響を受けない。そして、威力や範囲が、強力かつ広大なため、当たりとも呼ばれる。
とは言え、身体強化の補正はないうえ、<スロット>も空かない。これが唯一の欠点ではあるが、使いこなせればそれらはあまり気にならない。
(何を操るのでしょう?)
リアが疑問に思う中、タナカが戦闘を開始する。
彼が手から出したのは――炎。
「セイヤ! ハア!」
掛け声と共に火球を放つ。それは狼に当たると炎上していく。
「キャイン!?」
「ガアアア!?」
悲鳴を上げながら、燃え尽きていく狼。襲いかかる狼もいたが、
「ほいよっと」
「ギャオン!?」
その前に火球が着弾して炎上。あっという間に狼は全滅した。
その結界に胸を張るタナカ。
「一丁上がりや。どうや」
その結果に、リアは褒める。
「凄いです! わたくしは攻撃系は使えないので羨ましいです」
「そっちも悪くないと思うで。ワイは防御や回復は出来へんし」
因みに、タナカの<スキル>構成は、《レッドクロス〔炎〕》を活かすために、火力向上、自動回復、耐性突破などである。
そのため、生半可な耐性や防御も突破できる。
ランコの評価は普通だった。
「まあ悪くないな。大技で片付けるという選択肢はなかったのか?」
「大技は持っとるよ。でも、消耗が激しいからな。アレくらいならプラマイゼロやし」
ちゃんと考えて、ああいう戦い方にしたらしい。
一方、オウカの評価はあまり良くなかった。
「確かに、圧倒していたけど……」
「なんや? 何か文句ある?」
「素材は?」
狼達は燃え尽きて灰、骨、魔石くらいしか残っていない。
「「あ」」
三人が今気づいたかのような顔をした。
なので、オウカは更に捕捉する。
「毛皮がある獣は、できるだけ傷つけないで殺すのが良いんだよ」
オウカはナイフを投げた。すると、隠れていた狼に当たる。
「ギャ!?」
狼は絶命した。傷も一か所で済み、これなら、毛皮、肉、内蔵も使える。
「こんな感じでね」
そういうとオウカは剥ぎ取りを始めた。
【TIPS】
《レッドクロス》
(#ー#)<前述の通り、自然現象を操る。火、風、氷、光、闇etc
(#ー#)<色々あって、かなり細かく分かれる。
(#ー#)<例えば、風の場合――特定元素限定、竜巻限定とか。
(#ー#)<火だったら、爆炎、青い炎とかだな。
(・▽・)<悪○の実の自○系ですね。
(#ー#)<言うな!?
タナカ=ハナオの<スキル>
(#ー#)<こんな感じだ。これがオーソドックスかもしれん。
《レッドクロス〔炎〕》:人口の異能。大当たり。
〈属性ブースター〔火〕〉:属性攻撃の強化。因みに“〔〕”は色々。
〈耐性突破〔火〕〉:耐性を突破する。
〈自動回復〔気〕〉:気力を回復する。
〈オートカウンター〔火〕〉:攻撃を自動で迎撃。
〈??〉:防御系。常時発動や持続系と呼ばれる。
〈??〉:奥義。滅多に使わない。
(㈩*㈩)<これは余談。
(㈩*㈩)<<スロット>の数は平均六つ位。
(㈩*㈩)<増減が多少あるけど。




