117話:徒・歩・進・行
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実習が開始して数時間。オウカ達は最初のチェックポイントを目指す。因みにこのチェックポイントは班ごとに違う。
そういう訳で、オウカ達は山を歩く。
「てくてくてくてく」
「口で言うんやな……」
オウカのボケにツッコミを入れるヤマダ。
今の所、特に変わった事や、危険な事はなく順調に進んでいた。
体力に自信のある、オウカやランコはともかく、タナカとリアが不安要素だったのだが、付いてきていた。
曰く、
「近接戦闘は苦手ですけど、歩くだけなら何とか……」
「一応鍛えとるで」
との事。
オウカは渡されている紙の地図を見ながら、ペースを考えて、言う。
「このペースなら、昼食までに最初のチェックポイントに付けそうだな」
最初はどうなるかと思ったが、意外に行けそうである。そんな彼にランコが問いかける。その眼は傍らのリアに向いている。
「休憩はどうする?」
「もう少し進みたいところだけど……」
オウカもリアを見る。見た所は大丈夫に見える。とは言え無理させては元も子もない。
そういう訳でオウカは提案する。
「少し休むか」
それに班員も同意する。
「賛成~」
「同じく」
「もう少し行けますけど……」
リアは少し不満そうだったが、反対ではなさそう。
なので、休憩を取る。地面や椅子(折り畳みの物を出した)に座り、飲み物を飲み、おやつを食べる。
オウカはチョコバーを出して食べる。
「もぐもぐ」
「口で言うんやな~」
そういうタナカは飲み物を飲んでいる。
リアとランコは羊羹を食べて、お茶を飲んでいる。
十分程休み、出発する四人。暫く歩いていると、オウカがこちらに近づく気配を感じる。
「何か来る」
「「!」」
警戒する三人。そして、鳴き声と唸り声と同時に出て来た。
「グルルル……」
「ガルゥ」
「ハッハッハッ」
数匹の狼の<モンスター>だった。比較的オーソドックスな<モンスター>であり、通常の狼よりステータスが高く、種類によっては<スキル>を使ってくる。ランクは最下級だが、油断しているとやられる。
その狼達に対し、タナカが提案する。
「ワイが戦ってもええ?」
それに三人は特に反対する理由もないので頷く。
「ありがとな~」
礼を言ってタナカは前に出た。




