114話:場・所・何・処
バスの中では雑談をする生徒達。
オウカは、隣になったジンナと話す。
実のところ、本来はタナカが隣だったのだが、ジンナと相席になるはずだった女子がタナカの恋人だったので、交換した。
「「恋人いたんだ!?」」
それには全員死ぬ程驚いた。それにタナカは呟く。
「……ワイは一体どういう風に見られてたん?」
「アハハ」
因みに恋人も笑っていた。
そういう訳でジンナと話す。話題は最近の事から、<冥刀>について。そして、今回の実習について。
「場所一体どこなんだろうね?」
「察しは付く」
「え」
オウカは説明する。
「そもそも移動にバスを使う――という事はバスが使える範囲」
少し間を置き続ける。
「んで、広くて、ヤベーイ<モンスター>がほぼいない場所だと限られる」
「そうか……。だとすると」
とある場所がジンナの脳裏に浮かぶ。そして眉根を寄せる。
「大丈夫なのかな?」
「うん?」
「だってほら、……ね」
言葉を濁すジンナ。リアの事情を知っているだけに、実際に言葉に出すと何か起こりそうと思ったのだろう。
それをオウカも察したのか、
「ああ……うん」
これだけ言った。
その後、話題を(強引に)変えて雑談をしていると、場所についての発表があった。
「今回の実習は~」
キョウコは溜めに溜める。そして、その眼が開眼。
「狭山の丘陵です」
それは埼玉県と東京都の間にある丘陵、かつてはあるアニメキャラがいた森のモチーフで親しまれていた。
それは、この世界が変革してもあまり変わらなかった。なぜか危険だったり、凶暴だったりする<モンスター>が住みつかず、いるのは初心者でも撃破可能な小型<モンスター>位。だからこそ、かつての実習でも利用された事がある。
だが、あの事件、<ユニークネームドボスモンスター>の転移事件で大惨劇が巻き起こってからは、その時現れた【トロール】と、アニメキャラに因んで≪トロルの森≫と呼ばれるようになった。
事件以後、危険性は変わらないのだが、惨劇が起こった事と、そこまでレアな<オブジェクト>が取れない事から、あまり行く人がいなくなっている。
その言葉に全員絶句した。
【コソコソ話】
(#ー#)<要するに、「ト○ロの森」が≪トロルの森≫になった訳だな。
(・▽・)<最低のビフォーアフターですね。
(㈩*㈩)<宮○駿もブチ切れる。




