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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
弐ノ章~みんなで実習キターッ!~

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110/706

110話:無・貌・遁・走

 ◇◆◇◆



 オウカと無貌の戦いは激しさを増していた。刃と刃がぶつかり、金属音が幾度も響く。まさに鋼の豪雨。


「オオオオオオ!」

「アアアアアア!」


 オウカは右手に段平、左手に長ドスを持った二刀流。鉄壁の防御で無貌の攻撃を寄せ付けない。しかし、リーチの問題で近づけず、ダメージが当てられない。

 無貌は鎖を伸縮させ間合いを操作。中距離で攻めたて、オウカを近づかせない。しかも鎌は二つあるので手数がある。だが、オウカの防御が巧みでこちらも攻撃が届かない。

 互いにどうするかを思考。


(このままだと埒が明かない)

(防御を突破できん)

((どうする?))


 この状況を突破するには手札を切るしかない。


(どれを使う?)

(使うか?)


 オウカの場合、【ギルタブリル】の損傷のせいで、手札が限られる。それでも使えるモノはある。

 無貌の場合、最後の奥の手がある。ただし諸刃の剣であるので、できるなら使いたくない。

 両者、思考していた時だった。


「サクヅキ!」


 ランコの声が響く。それと同時に投槍が飛び込んで来た。それは鎌に激突し、鎖鎌の攻撃ペースを乱す。その隙をオウカは見逃さない。


「ッ!」

「来たぁー!」


 【イーコール】を使い、機動力を強化。一気に間合いに入り込む。そして、膂力強化を使い二刀による斬撃を放つ。


「死ね」


 それを無貌はどうにか受け止める。受けが難しい鎖鎌でようやる。


「ぐぅおお!(何と言うパワー)」


 拮抗は数秒。吹っ飛んだのは無貌。そのまま瓦礫に突っ込んで派手に粉塵が起こる。

 オウカは二刀を振り下ろした状態で残心。だが、武器は仕舞わず警戒態勢のまま。そんな彼にランコが声を掛ける。因みにリアの傍にいるが、いつでも槍を投げオウカに加勢できるようにしている。


「無事か?」

「おかげさまで。助かった。そっちは?」

「どうにか倒せた」


 その言葉に反応する者があった。


「なるほど。奴は倒されたか」

「「!」」


 瓦礫の中から現れたのは無貌。忍者装束は多少汚れているが、目立った外傷はない。


「手応えがおかしかったが、自分で飛びやがったか……」

「あんな攻撃を直撃で貰ってたまるか」


 そう言った無貌は手に持っていた鎖鎌を鎖に戻し、抜錨を解除。その行動に疑問を持つ三人。

 その答えを無貌は言う。


「ここまでだ。我らはこの仕事から手を引く」

「何だと?」

「え……」

 

 驚く女の子二人に対し、オウカは別の事を訊ねる。


「こういう仕事って信用が大事だけど、大丈夫なの?」


 それに無貌はオウカの事を見る。そして、


「フフフ、ハハハハハハ!」


 大笑いする。そして、オウカの問いに答える。


「こんな時に相手の心配か。……大丈夫ではない。だが、事前に聞いていない事ばかりなうえに、こちらの犠牲が大きすぎる。ここまでの相手だったらもっと戦力を用意した」


 オウカの瞳を見つめて続ける。


「お前、この黒幕を絶対に許さないだろう?」

「当然」


 オウカは断言する。


「生まれて来た事を後悔させて、死を懇願する程の苦しみを与え、跡形もなく消す」

「よし。ならばソイツの始末を頼む」

「任された」


 オウカの返事に、無貌は何かをオウカに放り投げる。受け取るオウカ。そこには連絡先が書いてある名刺だった。


「お前には伝手を作って置くのも悪く無さそうだ。何かあったら連絡しろ」


 その言葉と同時、無貌は霞のように消えた。

 追いかけようとしたランコ、それを止めるリア。


「ま、待て!」

「追うな。もう大丈夫」


 そして、言葉を発する。


「なあ、リア」

「何でしょう?」

「サクライ」

「何だ?」

「後始末……どうする?」

「「……」」


 ボロボロかつ、穴が空いた屋内。外もボコボコなうえ、大陥没が起こっている。人も沢山死んだ。これから事情聴取など色々あるだろう。

 因みに、オウカ的には、後始末は、戦闘よりも大変だった。

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