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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
序ノ章~プロローグ~

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Ⅹ「準備と相手と人格者」

 ******



「それで、あなたはこれからどうするの?」

「どうって?」


 首を捻るオウカにマユは少し呆れたような眼を向ける。


「このままでは転学か退学、そして決闘」

「……あ」

「忘れていたの?」

「色々あり過ぎたからね」


 それには同意するしかないマユ。


(というか今いつだ?)


 置きっぱなしの端末を付けてみると、日付は異世界に行ってから数時間と経っていない。


「……良かった」

【オートクレール】(アレ)も約束守ったのね」


 ほっと一安心。だがもう一つの問題は、


「まあ大丈夫。力は手に入れたし」


 実際オウカにはあの世界で手に入れたモノがある。


「だから大丈夫」


 異世界に行く前より遥かに彼は強い。

 だが、それにマユは待ったをかける。


「確かに。でも備えは必要」

「そうか?」

「そう。前にも言った通り、あなたは面倒事に巻き込まれるか、厄介事に首を突っ込んで行く」

「……」


 何も言い返せないオウカ。


「それに相手が強者の可能性もある」

「……確かに」


 相手が誰かはわからないが、あの高校には強者はいる。隠れ強者も存在する可能性がある。


「幸い時間はある。そういう訳で準備をしよう」

「準備?」


 疑問符を浮かべるオウガにマユはいたずらっぽく笑った。



 ******



 そして、決闘当日。時間は放課後、場所は学内の施設。程々に広め、頑丈、結界を張れる、自己修復機能(ある程度)有なので模擬戦や実験で使用される。そこにはオウカの決闘の相手がいた。


 金髪のツーブロック、大柄で筋肉質の男。彼がオウカの対戦相手であるヨシムラである。オウカの先輩である二年生である。

 どんな人物かと言えば、一言で言えばろくでなし。

 取り巻きが多数いるチンピラ崩れ。性格は粗暴で、人に暴力を振るい、金をたかる。何で退学にしないのかと言えば、本人が強く、勝てる人がこの高校には指の数くらいしかいないうえ、実家が名家で、権力を持っているので誰にも止められなかった。教師すら何も出来ないどころか、一部は言う事を聞く始末。そのため行動がエスカレートしていった。


 そんな彼とその取り巻き+αの合計十名と審判役の教師がここにはいた。しかし、肝心のオウカがいない。

「……チッ!アイツ……逃げたか?」


 イライラしているヨシムラ。貧乏ゆすりをしている。

 それを取り巻き達が宥めているが、あまり効果はない。

 そのため取り巻きの一人が教師に提案する。


「先生、もうアイツの不戦敗でいいんじゃないですか?」

「……それもそうだな」


 意見に同意したのは、角刈りの頭、中年のがっしりとした体形のゴンダという教師。

 腕時計を確認すると、開始時間までもう残り僅か。

 それならもう終わりにしてもいいだろう。

 それに、


(どうせ結果も見えている)


 ゴンダが知る限り、サクヅキ=オウカは今年入学した新入生で、入学テストの結果を見る限り、筆記の成績は良かったようだが、実技はそこまででもなく、今年度のナノマシンの投与者の一人。《クロス》の能力によっては厄介だが、今はそれを盗られて戦力ダウン。勝てる要素はない。……何かしらの隠し玉があれば別だろうが。


(そういえば……今日はアイツ見てないな)


 ゴンダがふと思う。

 オウカの姿を今日は見ていなかった。一体どうしたのだろうか? 諦めたのだろうか? ……因みに彼はオウカが遅れてくる事を知らない。単なる教師同士の報連相不足である。


「(まあいいか。)試合終了。勝s」

「どうも~、心の狭い人格者です」


 言葉を遮るように扉が思いっきり開かれた。

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